伏見の古い町並みを歩いてみよう ~「十石舟」が行き来する運河と酒蔵~(京都府)

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 京都市南端の伏見は、豊臣秀吉が築いた城下町です。
 淀川や、町の南側にあった「巨椋池」を用いた水運の拠点だった「伏見港」の港町としても栄えました。

 水質の良い地下水が豊富だったことから酒造業が発達し、現在でも日本有数の酒どころとなっています。
 運河に沿って古い酒蔵が建ち並ぶ風景は独特で、「十石船」に乗ってその風景を眺めることもできます。

 この記事では、そんな伏見の古い町並みの見所や、鉄道やマイカーで訪れる場合のルートや駐車場などについて紹介しています。
 実際に歩いてみた時の訪問記も掲載しているので、参考にしてみてください。

酒どころとして知られる、京都市南端の城下町

「伏見市」だった時代もある城下町、「河港」の港町でもあった

伏見・月桂冠旧本社前の町並み
伏見・月桂冠旧本社前の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 京都駅からさらに南へ5キロほど、京都市の南端にあるのが伏見区。
 現在では京都市の一部になっているわけですが、昭和の初めごろに合併されるまでは「伏見市」だったことでも分かるように、独立した歴史を持つ城下町です。

 桃山丘陵の高台の上に、豊臣秀吉が「伏見城」を建てたことから城下町としての歴史が始まりました。
「桃山時代」「桃山文化」の名が、この「桃山」に由来することでも分かるように、一時は政治や文化の中心地として大きな力を持った町でした。
 江戸時代には「伏見奉行」が置かれ、天領の扱いだったこともあります。

 宇治川・淀川や、町の南側に広がっていた「巨椋池」を用いた水運の拠点でもあり、「河港」(伏見港)の港町としても栄えました。
 戦後はほぼ港としての機能は失われてしまいましたが、現在では港の跡地が公園として整備され、堀を巡る「十石舟」及び「三十石舟」が人気となるなど、港の周辺は観光スポットとなっています。

伏見港公園
伏見港公園(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

日本を代表する酒どころ、運河に沿って酒蔵が建ち並ぶ

宇治川派流を行く「十石船」
宇治川派流を行く「十石船」(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 伏見といえば日本を代表する酒どころで、三大銘醸地の一つに数えられます。
 古くから、水質の良い地下水が豊富だったこと(「伏水」と呼ばれる)によって、酒造業が発達しました。

 日本酒の製造量では兵庫の灘に次いで二番目。月桂冠、黄桜酒造、宝酒造といった大手酒造会社も立地し、「神聖」(山本本家)や「金鵄正宗」、「玉乃光」などの地酒でも良く知られています。
(ちなみに、三大銘醸地の三つめは広島の西条です)

http://www.fushimi.or.jp/brewery/
(伏見酒造組合の酒蔵紹介ページ)

 高瀬川を経由して京都市内とつながるかつての運河、「宇治川派流」に沿って昔ながらの酒蔵が建ち並ぶ風景が見られ、いかにも古くからの酒どころという雰囲気が感じられます。

 酒蔵の中には、飲食店として利用されているものも多く、「鳥せい本店」など非常に人気となっているお店もあります。
 運河を運行する「十石舟」「三十石船」も人気で、船の上から川沿いに並ぶ蔵を眺めることもできます。(3月~12月の間に運行)

伏見・「鳥せい本店」前の風景
「鳥せい本店」前の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)
「十石舟」の船上からの眺め

「寺田屋」跡の旅籠も人気。伏見稲荷は少し離れた場所に

伏見・寺田屋跡
寺田屋跡(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 観光スポットとして人気なのが、坂本龍馬が襲撃されたことで有名な「寺田屋」跡の旅籠。
 当時の建物がそのまま残るわけではなく、明治時代に再建されたものですが、昔ながらの船宿の内部を見学できるのは貴重で、龍馬が過ごした様子を想像することもできます。

「宇治川派流」のすぐそばにあるので、「寺田屋」跡を起点に町並み巡りをするのも良いでしょう。

 なお、千本鳥居で有名な「伏見稲荷大社」は、この伏見の城下町からは5キロほど離れた場所にあるので、注意が必要です。
「伏見桃山」駅から京阪電車に乗れば、15分ほどで「伏見稲荷」駅へ着くことができます。

伏見稲荷・千本鳥居のライトアップ
伏見稲荷・千本鳥居のライトアップ(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

アクセス方法

伏見・宇治川派流の風景
宇治川派流の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

鉄道利用の場合

 伏見の古い町並みへの最寄り駅は、京阪本線の「中書島」「伏見桃山」、近鉄京都線の「桃山御陵前」、両者よりは少し離れますがJR奈良線の「桃山」が挙げられます。
 「中書島」駅には京阪特急が停車し、「桃山御陵前」には近鉄の急行が停まります。

 3路線もの鉄道路線が利用できるというのはかなり便利で、現代でもやはり交通の要衝なのだということが分かります。
 京都市の中心部からのアクセス時間は、祇園四条駅から中書島駅までが京阪特急または快速急行(列車本数は1時間に5~6本、他に準急や各駅停車も)で約10分、280円。

 京都駅から桃山御陵前駅までは近鉄京都線の急行(1時に4本程度、他に各駅停車も)でやはり約10分、300円となっています。
 近鉄京都線の列車は行き先が色々ありますが、有料の特急以外は全て桃山御陵前に停車するので、気にせずどれに乗っても大丈夫です。

 非常にアクセス良好なので、市内で観光したついでに立ち寄るのも簡単です。
 モデルコース的には、「中書島」で降りて「伏見桃山」まで歩くか、その逆のルートであれば、伏見の城下町の中心部をすべて見て歩くことができるでしょう。

(運賃等はいずれも2024年2月現在)


マイカー・レンタカー利用の場合

名神高速の京都南インターチェンジが近い

 名神高速道路の京都南インターチェンジで降りて、約5キロ10分程度です。
 大阪方面からの場合、京都南インターには第1・第2の二つの出口がありますが、第1出口で降りてしまうと北側の京都市内中心部に向かうことしかできないので、必ず第2出口で降りてください。

観光用駐車場はないが、伏見港公園の駐車場が利用できる


 駐車場については、「月桂冠大倉記念館」や「黄桜カッパカントリー」など各店舗ごとのもの、それにコインパーキングも何か所かありますが、公営の大規模な観光用駐車場はありません。

 京阪中書島駅のすぐそばに「伏見港公園」の駐車場があるので、かつての伏見港の跡を眺めるつもりで、こちらに停めるのが一番わかりやすいかもしれません。
 駐車可能台数は非常に多いので、満車になることは少ないでしょう。

 駐車料金は30分以内無料、30分以上1時間まで300円、その後は1時間ごとに100円加算となっています。


レンタカー比較といえば、たびらいレンタカー

京都駅八条口付近で人気の、泊まってみたいホテル

 伏見の町は、京都駅前や四条河原町周辺から距離が近いので、ホテルなどの選択肢は非常に多いです。近鉄か京阪に乗れる場所なら、どこでも便利と言ってしまっても良いでしょう。

 特に京都駅前にはたくさんのホテルがありますが、今回はその中でも近鉄の乗り場や新幹線口がある京都駅八条口すぐの場所に絞って、実際に泊まってみたいと思うホテルを楽天トラベルで探してみました。

 評価の高かった三交イン京都八条口〈雅〉〜四季乃湯〜には宿泊してみたことがあります。
 京都駅八条口から横断歩道を渡ってすぐの場所で、建物自体はこじんまりとしていますが、リーズナブルな価格なのにちゃんと大浴場もあります。
 開業してからまだ年数も経っていないので、内装もとてもきれいでした。

 ちなみに、ホテルグランヴィア京都都シティ 近鉄京都駅(旧:ホテル近鉄京都駅)はどちらも「駅前」よりもさらに近く、京都駅の中にあるホテルになります。
 そばを通りがかることは多いのですが、なかなか泊まる機会まではないので、一度思い切って泊まってみたいものです。

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三交イン京都八条口〈雅〉〜四季乃湯〜

ヴィアインプライム京都駅八条口(JR西日本グループ)

三井ガーデンホテル京都駅前

MIMARU京都STATION

都シティ 近鉄京都駅(旧:ホテル近鉄京都駅)

ホテルグランヴィア京都

お酒は飲めなくても楽しい酒どころ ~伏見の町を歩いてみました~

にぎわう商店街は城下町のメインストリート

 京阪の伏見桃山駅から、伏見の古い町並み歩きを始めます。すぐそばには近鉄の桃山御陵前駅もあって、この辺りが伏見区の中心地。

 地下の改札口から階段を上がると、「伏見大手筋商店街」というアーケード商店街に出ます。
 この商店街が、かつての伏見城下町のメインストリートだった「大手筋」で、今でもたくさんの買い物客でにぎわっています。

伏見大手筋商店街(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 まっすぐ西に延びる商店街を歩いていくと、ちょうどアーケードの終わるあたりで、今度は南へと続く「納屋町商店街」が左手に現れます。
 まるで路地のような狭い通りですが、こちらもアーケード商店街になっています。続いて、こちらを歩いていきます。

 アーケードを抜けると、通りの名は「竜馬通り商店街」に変わります。いよいよこの辺りからが伏見の観光の中心地です。
 レトロな雰囲気のカフェや居酒屋が並びます。道を歩く人も、観光客の姿が目立つようになります。

竜馬通りの風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

「寺田屋跡」の周辺に酒蔵の町並みが

「竜馬通り」の名の通り、通りの先には「旧寺田屋跡」があります。
 坂本龍馬が襲撃されたことで有名な船宿で、当時のままの建物内部を見学できるのが人気の観光スポットですが、現存する建物は明治時代に再建されたもののようです。
 それでも、昔の船宿の内部を見られるのはなかなか貴重なので、まあこんな感じだったんだろうと想像しながら見学するのが良いでしょう。

 寺田屋のすぐ前を流れているのが、かつての運河である「宇治川派流」。
 その流れに沿って、昔の酒蔵がずらりと並ぶのが、伏見の古い町並みのハイライトです。
 月桂冠旧本社(「伏見夢百衆」)や大倉記念館などを眺めながら長建寺の前まで歩き、そこから出航する「十石船」に乗れば、運河沿いに並ぶ酒蔵を見上げながらのクルーズも楽しめます。
 桜の時期が、特に見事です。

 ちなみに「月桂冠大倉記念館」では、酒蔵の見学や日本酒の瓶詰め体験などができるツアーを実施していて、自分で詰めたお酒は持って帰れます。
 お酒が飲めなくても、楽しい経験をすることができるでしょう。

月桂冠大倉記念館前の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

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