近江八幡の古い町並みを歩いてみよう~「八幡掘」が美しい城下町~(滋賀県)

城下町・武家町
八幡掘の風景
城下町・武家町重伝建地区関西エリア

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 琵琶湖の東側に位置する城下町、近江八幡。
 16世紀に豊臣秀次によって整備されたこの町は、多数の近江商人を輩出するなど、商業都市として栄えました。

 今でも、城下町の時代と変わらない碁盤の目状になっている旧市街地のあちこちに、近江商人が暮らした商家の町並みがほとんど完全な形で残っています。
 また、琵琶湖水運による町の繁栄を支えた運河「八幡掘」の、水路に沿って蔵が建ち並ぶ美しい風景は、広く知られているところです。

 この記事では、近江八幡の町並みの見どころや、実際に訪れるための交通ルートや駐車場の場所などについて紹介しています。

 また、近江八幡旧市街地で2年に一度開催されるアートイベント、「BIWAKOビエンナーレ」を見に行った時のレポートも紹介しています。
 こちらも、実際に町並みを訪れる時の参考になる内容になっています。

八幡堀の美しい風景で知られる、湖畔の城下町

城下町の町並みが見事に残る

近江八幡・新町通りの町並み
新町通りの町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 琵琶湖の東側にある近江八幡(滋賀県近江八幡市)は、豊臣秀次によって造られた城下町です。
 16世紀に、町の北側にある小山の上に八幡山城が築かれ、その麓の平地には碁盤の目状の整然とした市街地が整備されました。
 秀次によって、楽市楽座などの商業振興策が行われた結果、八幡の町は全国で活躍する近江商人を多数輩出するほどの発展ぶりを見せることになりました。

 駅周辺の新市街地から離れた琵琶湖寄りに、いまでも碁盤の目状の市街地がそのままに残る旧市街地があり、その各所で伝統的な古い町並みが見られます。
 関西でも有数の、良く保存された歴史的町並みということで、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)にも早くから選定されています。

 上の写真は新町通りの風景ですが、旧西川家などの近江商人が暮らした商家の町並みが、ほとんど完全な形で保存されているのがわかります。

ロケ地としても有名、美しい「八幡堀」の風景

近江八幡・八幡掘の風景
八幡掘の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 特に有名なのが、お城のある八幡山のすぐ麓を流れる、「八幡堀」の風景です。
 西の湖を経由して琵琶湖とつながるこの水路は、琵琶湖水運の船が往来した運河で、この町に多くの物資などを集める役割を果たしました。
 その建設によって、商業都市としての近江八幡発展の基礎が築かれたともいわれています。

 一度は完全に荒れ果ててどぶ川のようになってしまっていたとのことで、埋め立ててしまおうという話まで出たらしいのですが、そんなことをしたらきっと後悔するだろうと地元の方々が立ち上がり、保存が決まったということです。

 その成果が、今も残る素晴らしい風景。
 堀に沿って蔵が建ち並ぶ眺めは見事の一言で、当時の面影を伝えています。
 時代劇の撮影などに使われることも多いので、テレビを見ていると「あ、また八幡堀だ」などと気付くこともしばしばです。

ヴォーリズなどの設計した洋風建築も数多く残る

近江八幡・白雲館の風景
擬洋風建築・白雲館の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 洋風建築が多いのも近江八幡の特徴です。
 これらの多くは明治時代、日本各地の洋風建築を設計したウィリアム・メレル・ヴォーリズの手によるもの。メンソレータム(のちにメンターム)で有名な近江兄弟社を興したヴォーリズは、この地で生涯を終えました。

 町なかを歩いていると、「旧八幡郵便局」や池田町の洋風住宅街など、ヴォーリズの手による建物を、普通にあちこちで見かけることに驚かされます。

 ヴォーリズ建築以外にも、明治10年に旧八幡東学校の校舎として建てられた擬洋風建築の白雲館が、ちょうど八幡掘の目の前に残されていて、ランドマーク的な役割を果たしています。

池田町洋風住宅街(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

近江八幡の町並みへのアクセス方法

近江八幡・八幡掘の風景
白雲橋から眺める八幡掘の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

マイカー・レンタカー利用の場合

名神高速竜王インターの利用が便利

 近江八幡市のある滋賀県の湖東地域には、名古屋と大阪方面を結ぶ主要道路である名神高速道路が通っています。
 ところが、この名神高速は近江八幡市内を通っておらず、最寄りとなるインターチェンジは隣接する竜王町の龍王インターということになります。

 竜王インターから近江八幡市街までは約10キロ程度で、所要時間は20~30分程度となっています。
 それほど遠いわけではありませんが、インター名に近江八幡の名前がないので、ナビなどでの目的地設定時に少し戸惑ってしまうかもしれません。

八幡掘のすぐ近くに観光駐車場があります

 近江八幡の市街地は、JR東海道本線の近江八幡駅周辺にある新市街地と、琵琶湖寄りにある旧市街地の二つに分かれています。
 古い町並みが残る、新町通りや八幡掘は旧市街地の側にあるのですが、そのすぐそばに小畑観光駐車場など市営の有料観光駐車場が整備されているので、ここを利用するのが便利です。
 徒歩でも数分で、八幡掘などにアクセスすることができます。
 敷地も割と余裕があって、停めやすいです。

https://www.city.omihachiman.lg.jp/soshiki/kanko_seisaku/3/1/1388.html
(近江八幡市の観光駐車場案内ページ)

(小幡観光駐車場に実際に車を停めてみたところ)

鉄道を利用する場合

 JR東海道本線の近江八幡駅までは、大阪駅から新快速で1時間程度、京都駅からだと30分ちょっと。
 同じ滋賀県内の新幹線停車駅である米原駅からだと、新快速で20分ほどです。

 ただ、先ほどの解説通り近江八幡駅と町並みがある旧市街地の間は約2.5キロほど離れていて、徒歩の場合は30分ほどかかります。
 雰囲気としては、駅前の長いメインストリートをずっと歩いていくような感じです。 

 歩くのは少し大変だな、という場合は、駅前からバスが一時間に数本出ていて、運賃220円程度で利用することができるので、こちらも便利です。
 実際に何度か利用しましたが、乗車時間もそれほどかからず、快適でした。

https://www.ohmitetudo.co.jp/bus/access/hachimanbori/
(近江鉄道バスの案内ページ)

アートイベントの会場にもなります ~BIWAKOビエンナーレを見に行ってみました~

 近江八幡市では、現代アートのイベントである「BIWAKOビエンナーレ」が2年に1回開催され、この旧市街も展示会場となります(彦根市でも開催)。
 古い町家などの中でも展示が行われるので、アート作品を見るのと同時に建物の中を見学することもできます。

 開催の時期は、10月の初めから11月の下旬にかけて。
 秋の近江八幡の風景は特に情緒が感じられて素晴らしいということもあって、このイベントはもう何度も見に行っています。
 今年(2022年)はその開催の年に当たり、10月の中頃に実際に見に行ってきました。

 現地までは車で、名神高速を竜王インターで降りて、あとは国道477号などの下道で近江八幡の旧市街まで30分ほど。
 八幡堀に近い小幡観光駐車場に停めて、料金500円を支払いました。

 総合案内所になっている「旧八幡郵便局」までは駐車場から徒歩数分、新町通りなどの古い町並みを少し眺めたりしながら歩きます。小幡観光駐車場は町並み観光にはかなり便利な場所にあるので、何度も使っています。

「旧八幡郵便局」では、アートイベント鑑賞のパスポートを購入します。彦根などの全エリアを見る場合は4,500円、近江八幡エリアだけだと3,000円。彦根エリアは単独で3,500円なので、両方見に行くのなら全エリアのパスポートを買ったほうがずっとお得です。
 でも、今のところ彦根を見に行くかどうかはまだ未定なので、近江八幡エリアのパスポートだけを買いました。

近江八幡・旧八幡郵便局
旧八幡郵便局(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 さて、後はアート作品と建物の見学をして回ることになります。
「旧八幡郵便局」自体が展示会場となっていて、建物自体もヴォーリズの手による価値の高いものなので、まずはここから見学開始。
 また、その周辺にも「近江八幡まちや倶楽部」などの、古い建物をリノベーションしておしゃれなカフェなどして利用しているスポットがあり、こちらもアート作品の展示会場となっています。

 十か所ほどの会場を見て回り、その合間に八幡堀を眺めながら休憩したりして過ごして、三時間ほど。
 とても充実した時間を楽しむことができました。
「アートはよくわからなくて」という方でも、きっと楽しめるイベントだと思いますので、ぜひ参加してみてください。

https://energyfield.org/biwakobiennale/
(BIWAKOビエンナーレ公式サイト)

BIWAKOビエンナーレでのアートの展示の様子(近江八幡)
BIWAKOビエンナーレでのアートの展示の様子

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