興正寺を中心として築かれた「寺内町」富田林。
古い町並みが大規模に残ることで知られていて、格子状になったいくつもの通りに沿って、多くの町家が建ち並びます。
「歩いても歩いても古い町並み」という珍しい経験ができる町で、大都市である大阪府内にそのような場所が残っているというのが素晴らしいですね。
国の重要文化財に指定されている旧杉山家住宅をはじめとして、江戸時代に建てられた古民家がいくつも残ることでも有名です。
この記事では、富田林の町並みの見所や、鉄道やマイカーで訪れる場合のルートや駐車場などについて紹介しています。
実際に訪問した時の訪問記も掲載しているので、こちらも参考にしてみてください。
かつての「寺内町」がそのまま残る、大規模な古い町並み
興正寺を中心として築かれた「寺内町」
富田林寺内町(大阪府富田林市)は真宗興正派の寺院、興正寺を中心として築かれた「寺内町」です。
寺内町というのは有力な寺院(御坊)の周辺に建設された町で、町全体が寺の境内という扱いとなっていて、高度な自治が行われていました。
周囲を環濠で囲まれたりしていて、非常に町の一体性が高く高密度な「都市」だったのですが、その町並みが今でも残っている例がいくつもあり、他にも奈良の今井町が有名です。
この富田林町の古い町並みも非常に大規模なもので、格子状になったいくつもの通りに沿って、多くの町家が建ち並びます。
昔の都市が、丸ごとそのまま保存されていると言っても良いレベルで、歩いても歩いても古い町並み、というのは他ではなかなかできない経験です。
そんな場所が、大都会のそばである大阪府内にあるというのもすごいことですね。
もちろん、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されています。
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重要文化財の旧杉山家住宅など、貴重な町家がいくつも残る
歴史の古い富田林寺内町には、文化財級の歴史的な民家がいくつも現存しています。
中でも、国の重要文化財に指定されている旧杉山家住宅は17世紀に建てられたもので、富田林でも最古の建物。かつては造り酒屋でした。
200年以上前の民家がそのまま残っているというのには驚かされます。
他にも奥谷家住宅、木口家住宅、橋本家住宅、杉田家住宅、田守家住宅など、江戸時代に建築された町家が見事にいくつも残されています。
寺内町では、お寺の「鐘楼」や「鼓楼」が町のシンボル的な存在になっていることが多いのですが、富田林町においても、東高野街道と城之門筋が交差する四つ辻に興正寺の鼓楼がそびえる風景が有名です。
町歩きの軸になるのは「城之門筋」
縦横に通りが張り巡らされて、広範囲に古い町並みが残る富田林の町。
まずどこから歩き始めればいいのか、と迷ってしまいそうですが、町歩きの軸になるのは興正寺の鼓楼や山門がある「城之門筋」です。
南北に走るこの通り沿いだけでも、文化財級の町家が何軒も建ち並び、その景観は素晴らしいものとなっています。
また、町の中心となる通りなので、ここを軸として東西へ入っていくように歩いていくことで、道に迷ってしまうのも避けられるでしょう。
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アクセス方法
鉄道利用の場合
大阪府内、ということで大手私鉄の近鉄長野線が通っており、交通は便利です。
近鉄長野線は南大阪線の古市駅から出ている支線ですが、実際には大阪阿部野橋駅(JR天王寺駅の向かい側)から直通の準急が15分間隔くらいで出ているため、乗り換えの必要もありません。
富田林駅から寺内町までは本町通の商店街を経由して約500メートルで、徒歩でも10分程度となっています。
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マイカー・レンタカー利用の場合
国道170号バイパス(外環)など主要道がそばを通る
国道170号線・170号線バイパス(外環)などの主要道が近くを通っています。
高速道路で最も近いのは近畿道から美原ジャンクションで分岐する南阪奈道路の羽曳野ICですが、美原インターで降りて下道利用でも利便性はあまり変わらないかも知れません。
また、西名阪の藤井寺インターで降りて外環を南下してくるコースもあります。
使える道はたくさんあるので、渋滞状況に応じてコースを選ぶのが現実的でしょう。
「富田林市営東駐車場」が利用できる
狭い道がほとんどの寺内町内部には、車は停められないと考えたほうが良いでしょう。
最も近いのは「市営東駐車場」で、時間帯にもよりますが料金は30分100円となっています。
(入庫後20分間は無料)
駐車台数は30台です。
寺内町の入り口(旧杉山家住宅付近)までは、150メートルほどとかなり便利ですね。
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劇的に変わる世界 ~駅から富田林寺内町の町並みへ、歩いてみる~
富田林駅から寺内町の入り口までは徒歩10分ほど
富田林駅がある近鉄長野線は、南大阪線の古市駅から分岐する支線ということになっていますが、実際には大阪阿部野橋駅(JR天王寺駅の向かい側で、駅の上にはあべのハルカスがそびえるという大都会)から直通の準急が15分間隔で走っています。
つまり、非常に便利な場所というわけですが、元々長野線というのは南大阪線よりも古い歴史を持つくらいの主要路線で、ほぼ本線格の扱いということになっているようです。
富田林駅で降りれば、古い町並みが残る富田林寺内町までは徒歩10分ほどの距離です。
駅前にはスーパーや銀行の支店などが集まり、いかにも普通の地方都市といった感じ。
しかし、「本町通り」の商店街を南へ向かって歩き始めて、交番のある本町公園の辺りまで来ると、町家が並ぶ風景が見えてきます。
この公園には富田林出身の歌人、石上露子や、この地に逗留した作家の織田作之助らの記念碑があります。
劇的に変わる風景、まるで異世界
その少し先、道端に小さな地蔵堂がある辺りが、寺内町の入り口です。
ここで左へ曲がって東へと歩き、ちびっこ交通公園や北口地蔵尊の横を進んでいくと、大きな団地の辺りに出ます。
道の右側に「城之門筋」の文字がある石柱が見えたら、そこを右に曲がります。
いよいよここから先が、富田林寺内町のメインストリートとでもいうべき、城之門筋というわけです。
ここから先の風景の変化は劇的です。道沿いにはひたすら古い家屋が建ち並び、まるで異世界に来たかのような気分が味わえます。
日本有数の規模を誇る寺内町の町並みというのは、伊達ではありません。
格子状に張り巡らされた街路の中心となっている興正寺山門の辺りをさらに過ぎて南下し、木口家・橋本家住宅のある四辻で右に曲がります。
今度は西に向かって少し歩けば、富田林寺内町で最古の町家である旧杉山家住宅に到着します。
ここは本町公園に記念碑があった歌人、石上露子の生家でもあります、
この辺りが、寺内町の南の外れという感じになります。
向かい側の「寺内町センター」(入館無料)で展示物を眺めたりして、ひと休みするのも良いかも知れません。
きっと、まだまだここから、広大な町並みの中を歩き回ることになるでしょう。
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