出雲崎の古い町並みを歩いてみよう ~妻入の町並みと夕日が名物の天領~(新潟県)

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 北国街道の宿場町として、また古くからの港町として繁栄した出雲崎。
 佐渡島で産出された金銀の陸揚げの地で、北前船の寄港地でもありました。その重要性から江戸時代には代官所が置かれ、天領となっていました。

 約4キロ近くに渡って、伝統的な妻入り家屋が旧街道に沿って並ぶ町並みが残ることでも知られており、歩いても歩いても町並みが途切れないという、なかなか他ではできない経験ができます。

 この記事では、そんな出雲崎の町並みの見所や、マイカーや鉄道などで訪れる場合のルートや駐車場などについて紹介しています。
 実際に訪問した時の訪問記も掲載しているので、こちらも参考にしてみてください。

妻入り家屋の並ぶ町並みが果てしなく続く、天領の港町

佐渡からの金銀が陸揚げされ、北前船も寄港した町

妻入り家屋が並ぶ出雲崎の町並み
出雲崎の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 新潟県中越地方の日本海側に位置する出雲崎(新潟県出雲崎町)。
 北国街道の宿場町として、また古くからの港町として繁栄した場所で、佐渡島の対岸に位置することから、金・銀山で産出された金銀の陸揚げの地でした。また、北前船の寄港地でもありました。
 その重要性から江戸時代には幕府の直轄地として代官所が置かれ、天領となっていました。
 
 良寛さんの出生地であることでも知られ、ヒット曲の歌詞に出雲崎の地名が出てきたこともきっかけになって、観光地としても人気となっている町です。

 天領だった時代には、越後でも一番の人口密集地だったとも言われているほど栄えた町で、今でも北国街道沿いに妻入りの町家が並ぶ町並みが残されています。

妻入り家屋が並ぶ出雲崎の町並み
海沿いに密集する出雲崎の市街地(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

三角屋根が通りに沿ってリズミカルに並ぶ

妻入り家屋が並ぶ出雲崎の町並み
出雲崎、妻入りの家屋が並ぶ町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 家の屋根が三角形に見える側が通りに面しているような造りを「妻入り」と言います。
(建物の棟と直角の面が通りを向いている、という形式)

 丹波篠山など、山陰街道沿いの町などではしばしば見られる形ですが、三角屋根がギザギザと並ぶ様子は特徴的で、リズミカルな印象を受ける景観となっています。

 その妻入り家屋の並ぶ町並みが、おそらく国内で最も大規模に見られると思われるのが、この出雲崎です。
 町並みの南端から北端まで、約3.5km。その間ずっと、ほぼ途切れることなく伝統的な町並みが続きます。こんな場所はそうめったにはなく、非常に歩き甲斐がある町だと言えるでしょう。

妻入り家屋が並ぶ出雲崎の町並み 甘瀬の代官所跡近く、町の南端側の風景
甘瀬の代官所跡近く、町の南端側の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 町並みの中ほどには、伝統的な妻入り家屋の間取りなどを再現した「北国街道妻入り会館」という施設もあり、どんな建物なのかを実際に見学することも可能です。
 観光物産センターなどがある「道の駅 越後出雲崎天領の里」からも比較的近いので、町並み全体を歩く時間などが無い場合は、この近辺を主に見ておくのがおすすめです。

石油の採掘まで行われていた出雲崎

出雲崎の石油井戸
綱掘式石油井戸C-12号(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 発展する要素が盛りだくさんだった出雲崎の町ですが、古くから石油が産出されることでも知られており、明治時代に日本で初めて機械を用いた石油採掘が行われた地でもありました。

 現在では石油の採掘は終了していますが、市街地の南端近くには石油井戸の鉄塔が保存されており、当時の様子を想像することができます。

 また、「道の駅 越後出雲崎天領の里」内にある「天領出雲崎時代館」の中には「出雲崎石油記念館」があり、石油採掘の歴史についての展示がされています。 

日本海に沈む夕日が美しい「夕日の町」

 出雲崎町役場が自ら「良寛と夕日の町」というキャッチフレーズを使っていることでも分かる通り、出雲崎は日本海に沈む夕日が美しい町としても知られています。

 道の駅の敷地内には「日本海夕日公園」があり、海に向かって延びる「夕凪の橋」という展望用の橋からも夕日を眺めることができます。
 確かに、見事な夕日が見られました。

出雲崎の夕日
「夕凪の觜」と沈む夕日

アクセス方法

出雲崎の町並み
出雲崎の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

マイカー利用の場合

国道352号線がすぐそばを通る

 近くを通る高速道路はありませんが、日本海沿いの快走路である国道352号線が、古い町並みのある旧北国街道と並行して走っています。

 高速道路利用の場合は、北陸道の西山インターで降りて国道116号線や352号線などを経由するか、関越道の長岡インターで降りて県道48号線などを経由するというルートになります。

 西山インターからの場合は、約15キロで20分程度で到着します。長岡インターからの場合、山越えの区間が長くなるため、40分程度見ておいたほうが良いようです。

道の駅には150台分以上の駐車場がある

 古い町並みに隣接する「道の駅 越後出雲崎天領の里」には150台分以上の駐車場があります。
 ここは観光物産センターや、先ほども触れた「天領出雲崎時代館」「日本海夕日公園」「夕凪の橋」といった施設もそろっているので、必ず立ち寄るべきスポットだと言えます、

鉄道・バス利用の場合

 JR越後線には出雲崎駅がありますが、出雲崎の町並みとは5キロ近く離れており、徒歩利用はちょっと大変です。
 駅前の「ホッと情報館・陽だまり」にレンタサイクルがあるようなのでそれを借りるか、駅前から出ている越後交通のバス(出雲崎車庫行)を利用するのが現実的でしょう。

https://www.town.izumozaki.niigata.jp/_files/00017619/hidamari.pdf
(「ホッと情報館・陽だまり」パンフレット)

http://www.echigo-kotsu.co.jp/contents/diagram/route/kashiwazaki/18.pdf
(越後交通バス時刻表)

往復7キロの町並みへ ~出雲崎の町並みに行ってみました~

関西から、特急サンダーバードと北陸新幹線で

 日本海沿いに妻入りの町並みが続く出雲崎、写真で見てもいかにも風情があって、一度出かけてみたいとずっと思っていました。

 ただ、住んでいる関西から新潟県までは結構な距離があって、時間もかかります。
 新潟市までのルートを検索すると、東海道新幹線で東京まで出てそこから上越新幹線経由という大回りの経路が最短ということで、4時間半以上も必要です。
 新幹線に二つも乗るわけなので、運賃も馬鹿になりません。

 ただ、同じ新潟県でも少しだけ関西に近い上越市までは、金沢からの北陸新幹線が開通しています。
 在来線の特急サンダーバードで金沢へ、そこから北陸新幹線に乗り継いで上越妙高駅まで約3時間。これなら運賃は東京周りで新潟市まで行くのに比べてほぼ半額になります。

 出雲崎があるのは長岡や柏崎のある中越地方にはなるのですが、上越妙高でレンタカーを借りれば出雲崎まで1時間くらいです。途中で、他の町に立ち寄ることもできます。
 これならまずまず現実的なプランと言うことで、ついに出かけることにしました。

上越妙高駅
上越妙高駅

時間に余裕を見ておこう(たまたま夕日が見られましたが)

 初めての北陸新幹線で、金沢から上越妙高まではたった1時間。もう新潟か、と狐につままれたような気もしたほどでした。
 上越市の二つの市街地、高田と直江津どちらからも離れた上越妙高の駅前はがらんとしていましたが、レンタカーで走り出すにはむしろ市街地にあるよりも便利です。

 最初に向かったのは、柏崎市の「荻の島環状集落」。その名の通り、田んぼの周囲を囲むように、かやぶき屋根の民家が建っているという面白いところです。
 ちょっと遠回りなのですが、ここに立ち寄れるというのも今回のプランに決めた理由でもありました。
 そこから柏崎の市内をほぼ縦断するように通過して、北隣にある出雲崎へ。
 国道352号線を日本海沿いに走るのは、まさに絶景ルートで非常に気持ちがよかったです。

 まずは「道の駅 天領の里」の近くから、南のほうへ向かって妻入りの家屋が並ぶ町並みをのんびり歩き始めます。期待通りの大規模な町並みで、歩いても歩いても続いています。
 石油の掘削跡などを眺めたりしながら、ほぼ南端の「獄門跡」までたどり着いたところで、これでもまだ全体のわずか2割弱しか歩いていないことに気づきました。全長3.5キロと言うのは伊達ではありません。

 すでに午後の5時。夏場とはいえ、こんなペースだと陽が暮れてしまうと、慌てて北へと向かいました。
 結局、往復で全7キロを歩き終えたのは午後7時前。
 道の駅に戻ったときは、すでに太陽が日本海に沈もうとするところでした。おかげで、見事な夕日を眺めることができました。
 出雲崎を堪能はしましたが、もう少し時間に余裕を持った日程で訪問することをお勧めする次第です。

出雲崎宿、南の外れ
出雲崎宿、南の外れ。ここから3.5kmに渡って町並みが続く(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

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