知覧麓の古い町並みを歩いてみよう ~庭園のような武家屋敷町を歩く~(鹿児島県)

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 薩摩半島の南側にある知覧は、薩摩藩が防御拠点として整備した武家屋敷町、「麓」集落の町並みが特に見事に残ることで知られる町です。
 川沿いに歴史的な町並みが残る様子から、「薩摩の小京都」とも呼ばれます。 

「武家屋敷通り」に沿って生け垣と石垣が続く様子は、まるで町ごと庭園の中にあるような美しさです。
 各武家屋敷の敷地にある庭園は7か所が国の名勝となっていて、入園券を購入して見学することもできます。

 この記事では知覧の町並みの見所や、実際にマイカーやバスなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法や駐車場について紹介しています。
 実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。

まるで庭園のような武家屋敷町が残る、薩摩の小京都

武家町「麓」集落の町並みが大規模に残る

知覧麓の町並み
知覧麓の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 南九州市の知覧は、薩摩半島の南側にある町で、武家町の一種である「麓」集落の町並みが大規模に残ることで知られています。

 鹿児島を中心に数多く点在する「麓」は、「外城」としての防御機能を持った集落で、薩摩藩によって整備されました。
 その数は100箇所を超えたと言われ、元の数が多いだけに、今でも鹿児島県内などには「麓」の町並みがいくつも残されています。

 中でも特に見事な景観が見られるのがこの知覧麓で、昔ながらの集落の姿が大規模に残ることで知られ、国の重要的建造物群保存地区(重伝建地区)にも選定されています。
(鹿児島県内では、他に「入来麓」「出水麓」の二箇所が重伝建地区に選定)

 麓川の川沿いに歴史的な町並みが残る様子から、この町は「薩摩の小京都」とも呼ばれています。

知覧麓の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

町ごと庭園のような雰囲気

知覧麓の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 亀甲城(知覧城の支城)がある小山のそばから、西に向かって伸びる「武家屋敷町通り」沿いの約800メートルに渡って「麓」集落の町並みが残ります。

 武家屋敷の敷地を囲む、美しく刈り込まれた生け垣と石垣が通りに沿って続く様子が、知覧麓の景観の大きな特徴となっています。
 屋敷ごとに築かれた庭園が連続することで、まるで町全体がまるごと庭園の中にあるような雰囲気となっていて、通りを歩いていると非日常的な感じが味わえるほどです。

 各武家屋敷の庭園の中には公開されているものもあり、その7箇所が国の名勝となっていて、共通の入園券を購入して見学することができます。
 近くの母ヶ岳を借景とするなど、それぞれに異なった趣向がこらされているので、一通り見て回るのをぜひおすすめします。
 知覧の庭園には、琉球庭園の影響が見られるとのことですが、通りの突き当りに「石敢当」(魔除け)が見られたりするのも、沖縄の集落に似ている感じです。

知覧・佐多直忠邸庭園
佐多直忠邸庭園(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 また、こちらは庭園はありませんが、無料で公開されている「知覧型二ツ家」も立ち寄っておきたい場所です。
「二ツ家民家」は元々、居住空間と炊事の場所が別々の棟となっている形式ですが、知覧では二つの棟が小棟で結合された家屋が見られ、そのほうが結局便利だったのでしょうね。
 風格がありながら開放感も感じられる、南国ムードのあるお屋敷です。

知覧型二ツ家(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)
知覧型二ツ家の内部

併せて訪れておきたい、平和会館と「ミュージアム知覧」

 特攻隊の基地があった町としても知られる知覧には、その戦死者をしのぶ「特攻平和会館」があります。
 知覧麓からも2.5キロ程度の距離なので、やはりここは訪れておきたいところです。
 正直、辛い内容の展示も多いですが、展示内容の充実ぶりは驚くほどのもので、海底から引き揚げた零戦などの戦闘機の実物も見られます。

 また、平和会館に隣接する「ミュージアム知覧」では、知覧の歴史に関する展示が行われていて、こちらも相当に充実した内容となっています。
 知覧麓の武家屋敷から寄贈された漆器などの展示品もあり、麓の歴史についてより深く知ることがでるでしょう。

 特に、薩摩藩において禁制とされた浄土真宗を、密かに信仰し続けていた「かくれ念仏」についての展示は、なかなか他では見られないもので、感心させられました。

 この二箇所は共通入館券でお得に見学できますので、どちらも見ておくことをおすすめします。

知覧特攻平和会館の屋外に展示された戦闘機・隼のレプリカ
知覧特攻平和会館の屋外に展示された戦闘機・隼のレプリカ

 

アクセス方法

知覧麓の町並み
知覧麓の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

マイカー・レンタカー利用の場合

南薩縦貫道のインターチェンジがすぐ近くに、指宿スカイライン利用もおすすめ

 2017年に全通した南薩縦貫道の「知覧金山水車インターチェンジ」が、武家屋敷通りから3キロほどのところに設置されています。
 また、以前から利用されている指宿スカイラインの知覧インターからも8キロほどとなっています。

 南薩縦貫道は全線が自動車専用というわけではなく、谷山インターから南九州川辺ダムインターまでは一般道の県道19号・20号を経由するルートになります。
そのため、谷山インターから指宿スカイラインに入るコースでも所要時間に大きな変わりはないようです。展望台からの眺望の良さを考えると、片道は指宿スカイラインを利用するというコースでもよいかも知れません。
 料金も、谷山インター以南は100円と非常にリーズナブルな設定になっています。

 ほかにも、県道217号産業道路・国道225号経由のルートもあり、こちらも道路の整備状況が良くて走りやすかったです。

指宿スカイラインから眺める桜島

(谷山インターから指宿スカイライン経由のコース)

武家屋敷通りに隣接する駐車場が無料に(令和5年4月から)

 武家屋敷通りの入り口には駐車場があり、車を停めてすぐに町並み歩きができます。
「無料」とあるので、あれ? と思ったら、何と令和5年4月からは周辺の観光用駐車場がすべて無料開放となったそうです。
 安心して訪れることができますね。

https://minamikyushu-kankounavi.com/postSingle.php?mCd=62972c304111b&cd=MKKK0683&lang=ja
(南九州市観光協会からのお知らせ)


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鉄道・バス利用の場合

 鹿児島中央駅は九州新幹線の終点となっているので、関西圏などから訪れるにも非常に便利です。
 しかし、鹿児島市内から知覧方面への鉄道路線はなく(1965年までは鹿児島交通知覧線というのがありました)、海沿いを走るJR指宿枕崎線の駅からも徒歩では遠いので、バス路線を利用することになります。

 鹿児島中央駅から武家屋敷通りの近くまでは直行のバス路線があり、所要時間は約1時間10分ほどとなっています。
 本数も1日8往復あるので、まずまず便利に利用できると思います。料金は片道1100円です(2023年7月現在)
 指宿枕崎線の平川駅からもバスが出ていて、所要時間は約15分ほど、本数もやはり8往復程度あるようです。

https://www.city.minamikyushu.lg.jp/kankou/kanko/access/kuko.html
(南九州市役所公式サイトのバス路線案内ページ)


飛行機利用の場合

 関西よりも東のエリアから鹿児島県を訪れる場合、ほとんどの場合は飛行機を利用することになると思います。
 最寄りは鹿児島空港で、東京(羽田・成田)、大阪(伊丹・関空)、名古屋(中部国際)などの主要な空港からの直行便が数多くあります。
 東北以北からは羽田空港などでの乗り継ぎが必要でちょっと不便なのですが、それ以外の区域からの利便性は確保されていると言っても良いかと思います。

 鹿児島空港から知覧までは約70キロでレンタカー利用なら1時間ほど。
 バスの場合は、空港連絡バスで鹿児島中央駅まで出て、先ほど解説した駅からのバスに乗り換えということになります。


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冬の陽射しが暖かい、南国の武家屋敷町を歩く

九州新幹線で関西から鹿児島へ直行

 かつての「麓」集落の町並みが、鹿児島県には数多く残されています。
 全て見て回ると大変ですが、重伝建地区に選定されている「知覧麓」「入来麓」「出水麓」の三箇所くらいは見ておきたいなと思っていました。
 九州新幹線も開通して、関西から鹿児島までは非常に便利になったこともあって、麓めぐりの旅に出かけることにしました。

 初めて乗った九州新幹線「みずほ」、指定席なら座席は片側二列ということもあって、山陽新幹線の「のぞみ」よりも広くて快適でした。
 福岡から鹿児島までたった1時間半というのも素晴らしく、かつて延々と特急つばめに乗って鹿児島まで行った頃とは大違いです。
 鹿児島は空港がそれほど便利な場所でもないので、関西からだと新幹線利用のほうが便利だなと感じました。

 出かけたのは1月の終わりくらいだったのですが、鹿児島中央駅で新幹線を降りると、真冬とは思えないような陽射しが降り注いで、さすが南国と嬉しくなりました。
 その日はたまたま全国的に気温が高めだったようですが、それでも京都とはずいぶんな違いで、これは来てよかったと心から実感したものです。

春の陽射し、1月の鹿児島中央駅

猫もくつろぐ武家屋敷通り、静かに過ごす庭園の午後

 三つの麓は、県の北側と南側に点在しているので、どちらにも行きやすいようにということで、宿泊地は鹿児島中央駅の近くにしました。
 到着してすぐ、名物らしい「ざぼんラーメン」というのを食べてから(九州らしい、濃いめの豚骨スープがおいしかった)、さっそくレンタカーを借りに向かいました。
 まずは南方、知覧を目指します。

 県道271号産業道路と国道225号線を南下して、揖宿スカイラインを経由して知覧の武家屋敷通りへ。現地までは1時間弱くらいでしたが、高速を使えばもう少し早く着くだろうと思います。
(帰りは南薩縦貫道経由で、鹿児島インターまで帰りました)

 さらに南へと来たわけですが、車を降りるとコートなど要らないくらいに陽光が降り注ぎます。
「麓川」(非常にわかりやすい名前ですね)にかかる橋を渡り、武家屋敷通りに入ると風景が一変、保存状態の良い古い町並み独特の別世界のような空気になります。

 シーズンオフの平日だったので観光客の数はごく少なく、天気のよさもあって撮影にはまさにぴったりの状況。
 通りの真ん中で猫が無防備に寝転んで、足元でゴロゴロいいだすくらいののどかさでした。 

武家屋敷通りで転がる知覧の猫
武家屋敷通りで転がる知覧の猫

 せっかくはるばる来たわけなので、共通入園券を買って、国の名勝に指定されている武家屋敷の庭園を全部見て回ることにします。
 途中で歩き疲れると、庭園そばの縁側に少し座って休憩させてもらいました。
 本当にのんびりと静かな時間を過ごすことができて、心の安らいだ、暖かい冬の日でした。

知覧・森重堅邸庭園
森重堅邸庭園(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

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