内子の古い町並みを歩いてみよう ~木蠟の生産で全国に知られた町~(愛媛県)

商家町
商家町重伝建地区四国エリア

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 愛媛県のほぼ真ん中にある内子は、ろうそくの原料である木蝋の生産や製紙により繁栄した町です。
 いくつもの川の合流点となっている小さな盆地に市街地が発達し、それらの川を利用した水運や、町を通る大洲街道によって物資が集まる交通の要衝でもありました。
 
 町の中心部に近い「八日市・護国地区」には重厚な商家の屋敷などがずらりと並んでいて、非常に壮観です。なかなか他では見られないような、見事な歴史的町並みとなっています。

 この記事では内子の町並みの見所や、実際に鉄道やマイカーなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法や駐車場について紹介しています。
 実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。

木蝋などの生産による繁栄が残した、見事な町並みが見られる

和ろうそくの原料の生産で日本一を誇った、交通の要衝

内子・護国地区の町並み
内子・護国地区の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 内子は江戸から明治時代にかけて、和紙や木蝋の生産により繁栄した町です。
 木蝋とはハゼノキなどから採取される蝋の一種で、和ろうそくの原料となります。内子産の木蝋は、明治の初め頃には日本一の生産量があったと言われます。

 その後木蝋は、石油を原料としたパラフィン蝋に取って代わられることになり、大正時代にはその生産をほとんど終えてしまいました。
 しかし現在でも「大森和蝋燭屋」という、和ろうそくを作っているお店が営業を続けています。

 小田川や中山川などが合流する盆地という地形も、内子が栄えた大きな理由になりました。
 これらの川を利用した水運と、町を通る大洲街道(松山街道)によって物資が運ばれることになり、交通の要衝としても発展したのでした。

重厚な商家がずらりと並ぶ八日市・護国地区

内子・大村家住宅(重要文化財)付近の町並み
内子・大村家住宅(重要文化財)付近の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 町の中心を南北に貫く大洲街道沿いの八日市・護国地区には、約600メートルに渡って古い町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されています。
 清正川の南側が産業の中心だった八日市、北側がお遍路さん向けの宿場の性格も持っていた護国地区となっています。

 緩やかな起伏が続く通りに沿って、いずれも重要文化財に指定されている上芳我家住宅、本芳我家住宅、大村家住宅などの商家の屋敷などが建ち並びます。
 江戸時代から明治時代にかけて建築された建物が多く、90棟以上の建物が伝統的建造物に選ばれているというから驚きです。

 建物の多くは非常に重厚な漆喰塗りで、黄色がかった壁が多くみられるのが特徴的。これは、地元で産出される「黄土」を漆喰に混ぜているからだそうです。
 非常に立派なお屋敷がいくつも並ぶ様子は相当な迫力があり、ぜひとも実際に訪れて見ていただきたいです。

内子・本芳我家住宅(重要文化財)付近の町並み
内子・本芳我家住宅(重要文化財)付近の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

重要文化財の芝居小屋、「内子座」

内子座の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 大正5年に、大正天皇の即位を祝って建てられた芝居小屋、「内子座」が町並みの近くに現存します。
 戦後は映画館や会社の事務所として使われたりしていて、一時は解体の危機もあったようですが、町並み保存運動に合わせてこちらも保存の機運が高まったことで、無事に生き残ったようです。

 廻り舞台などの、当時の最先端の設備も残されていて、今でも文楽や住民による劇団の公演が行われています。

https://www.town.uchiko.ehime.jp/site/uchikoza/
(内子町公式サイト内の、内子座ホームページ。チケット購入などが可能です)

「木蝋」の製法について知ることもできる

内子・上芳我家住宅(重要文化財)付近の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 重要文化財の「上芳我家住宅」の内部は「木蝋資料館 上芳我邸」として公開展示されていて、主屋の内部構造を見学することができます。
 内子で使われていた製蝋用具が展示されていて、どのように生産されていたかが分かります。

 また、この町には全国的にも貴重な和ろうそくのお店である「大森和ろうそく店」があり、手作業で芯に木蝋を塗り重ねていく、昔ながらの製法で作られた和ろうそくを買い求めることもできます。

アクセス方法

内子・枡形付近の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます

マイカー利用の場合

松山道の内子五十崎インターからすぐ

 松山市と直結する、松山自動車道の内子五十崎インターチェンジが町のすぐ近くにあり、インターを降りてから町並みの残る辺りまではわずか2キロほど、5分で到着します。

 本州方面からの場合は「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)を利用する場合が多いかと思いますが、終点である今治インターからはなぜか高速道路がつながっていません。
 今治インターで降りてから少し一般道を走り、「今治湯ノ浦インター」から「今治小松道」という道を経由して松山道に入るということになっていて、地図を見ていただければわかる通り、遠回りのようなコースになっています。
(それでも一般道でショートカットするよりは早いようです)

 しまなみ海道の開通からかなり経つのに、未だに松山方面への直結がないのはちょっと不思議ですね。

町並み訪問用の駐車場が整備されている

 古い町並みの北の端にある「八日市・護国町並み保存センター」のすぐ近くに、60台以上が駐車できる駐車場が整備されています。
 駐車料金は1日300円と、有料ではあるもののかなり格安料金となっています。
 車を停めてすぐに、町並みを歩き始められるという便利な駐車場です。

鉄道利用の場合

 JR予讃線の内子駅(内子以南は正確には内子線)が町のそばにあって、松山から宇和島へと向かう特急「宇和海」が停車します。
「宇和海」は日中を通してほぼ1時間に一本の運転となっているので、鉄道でのアクセスは良好と言えます。

 松山から内子駅への所要時間は約30分、料金は1,610円となっています(自由席利用、2023年7月現在)
 駅から町並みの辺りまでは1キロほど、歩いても10分くらいで到着します。


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 新尾道からしまなみ海道、そして四国へ ~本州からの内子訪問記~

意外と便利かもしれない新尾道駅

 内子の町がある愛媛県へと向かうに当たっては、まずは山陽新幹線の新尾道駅でレンタカーに乗り換えて、山陽道経由でしまなみ海道を走って四国へと渡りました。

 新尾道駅といえば尾道の町からちょっと遠いことで知られます。在来線との接続もありません。
 そのため、尾道を訪れるには、隣の新幹線駅である三原駅やのぞみが停まる福山駅で降りて山陽本線に乗り換えたほうが便利(三原から尾道まで2駅)などと言われてしまっています。
 でも、レンタカーでしまなみ方面へ向かう中継地としては結構便利でした。駅前も広々として、走りやすかったです。

 因島の水軍城、大三島の大山祇神社やその門前の町並みなど、しまなみ観光を堪能しながら愛媛の今治へ到着。
 なぜか、ここで高速道路は一旦終わりになってしまい、松山方面には接続していません。今治市内を経由して今治小松道から松山道へ。何だかちょっと遠回りな感じなのが不思議です。

 そこからは内子五十崎インターまで直結で、インターからほど近い龍王公園のそばにある古びた民宿に宿泊。
「山荘」という名前の通り、高台から小田川沿いの五十崎の町を遠望できる好立地でしたが、残念ながらここはもう営業していないようです。
 ただ、同じく龍王公園に隣接する場所に「オーベルジュ内子“>オーベルジュ内子[PR]リンク先は楽天トラベル」というおしゃれホテルがオープンしているようで、ここも眺めは良さそうですね。

夜と朝の快適な町並み歩き

内子の町並み、夜の風景
内子の町並み、夜の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 夕食に、地元の名物という「いもたき」(里芋と鶏肉などを煮込んだ鍋。東北の芋煮とは味付けなどが違うそうです)をいただいてから、夜の町並みを見に行こうということに。
 高台にある宿からは3キロ弱。歩いて行くにはちょっと距離が離れているし、帰りも上り坂が大変そうなので、車で町なかへと向かいました。

 静まり帰った通りには人もおらず、所々で街灯が辺りを照らしている以外にはほとんどライトアップなどもされていませんでした。しかし、何せ完璧な歴史的町並みだけに、そんな様子にも神秘的な趣が感じられて、これは来てみて良かったぞ、という感じになりました。
(写真は感度を上げて明るめに撮影してます)
 なお、毎年9月のはじめに、通りに行灯を並べてライトアップが実施されるとのことで、これも一度見てみたいなあと思います。

 翌朝、今度は朝食前の早い時間に、再び町並みを歩きに行きました。
 ちょうど昇り始めた朝陽に照らされた重厚な町並みは、これもまたやはり素晴らしいものでした。
 通りを歩く観光客は、やはり我々のグループだけなのでした。

内子の町並み、八日市から護国方向(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

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