香川県の西部に位置する琴平は、海上交通の守り神と知られる金刀比羅宮の門前町です。
神社による支配が江戸幕府にも認められた社領で、全国からの参拝者を多数集めて、城下町にも匹敵するような規模にまで発展しました。
金刀比羅宮と言えば参道の長い石段で知られますが、その石段に沿って飲食店や土産物屋さんなどの古い建物がずっと並ぶ風景は独特です。
また、より平地側の神明通り付近の表参道にも、清酒「金陵」の本店や老舗の旅館などが並ぶ、古くからにぎわった門前町らしい景観が見られます。
琴平が発祥の地だというさぬきうどんや、名物の「灸まん」を食べたり、グルメも楽しめます。
この記事では琴平の町並みの見所や、実際に鉄道やマイカーなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法や駐車場について紹介しています。
実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。
全国から参拝客が集まる、金刀比羅宮の総本宮がある門前町
幕府にも支配を認められた、金刀比羅宮の社領

香川県の西部、讃岐平野の山沿いに位置する琴平(香川県仲多度郡琴平町)は、金刀比羅宮 (こんぴらさん)の門前町として知られる町です。
金刀比羅宮は海上交通の守り神として信仰を集める神社で、各地に分社がありますが、琴平の金刀比羅宮はその総本宮に当たり、全国から参拝客が集まります。
戦国時代の終わりごろから江戸時代にかけて、この地域を支配する大名によって金毘羅信仰を厚く保護する政策がとられ、松平頼重の時代には江戸幕府にも認められた金毘羅社領(朱印地)が成立しました。
このように、公的に守られることになった琴平の門前町は、城下町にも匹敵するような規模となり、全国各地からのこんぴら参りの参拝者が集まって大変な賑わいを見せたようです。
社領が政府に没収された明治以降もこんぴら参りの勢いが衰えることはなく、大規模な門前町が現代に至るまで続くことになりました。
参道の石段沿いなどに、各種の店が並ぶ町並みが見られる

現在でも多くの参拝客でにぎわう門前町ということで、参道沿いには各種の飲食店やおみやげ物屋さんなどがずらりと並んでいます。伝統を感じさせる店構えの店舗も多数見られて、個性的な町並みを作り上げています。
特に、奥社まで合わせると1300段以上にもなる石段沿いに古い建物が並ぶ風景は独特で、石段の登り口と本殿の中間にある大門の付近にまで、かなりの距離にわたってその町並みは続いています。
大門の前から見下ろすと、足元に続く参道の向こうに、讃岐平野が広がる様子を見渡すことができます。
石段を下りてきた平地側の金倉川沿いにある神明通り周辺の表参道沿いには、清酒「金陵」の本店 (「金陵の里」として内部が公開されている)や老舗旅館の「敷島館」(現在の建物は近年の復元)、琴平名物「灸まん」の本舗などが並ぶ、古くからにぎわった門前町らしい景観が見られます。


現存最古の芝居小屋、国重要文化財の金丸座

参道の石段を少し離れた高台には、現存最古の芝居小屋とも言われる金丸座(旧金毘羅大芝居)の建物が残ります。
江戸時代、天保6年に完成したもので、常設の芝居小屋として全国有数の規模を誇りました。江戸や京・大坂の芝居小屋にも引けを取らない規模だったといいます。金毘羅社領の問前町がいかに繁栄したかがわかります。
明治以降も生き残った金毘羅大芝居は、のちには映画の上映なども行われましたが、やがては老朽化が問題となりました。しかし保存運動の結果、1970年には国の重要文化財となり、現在も変わらぬ姿を見学することができます。

観光スポットが充実、グルメも楽しめる琴平

観光名所としての長い歴史を持つ琴平の表参道は、とにかく観光スポットが充実しています。
江戸時代の酒蔵の内部が資料館として公開されている「金陵の里」や名物の「灸まん」が食べられる「灸まん本舗石段屋」、それに琴平はさぬきうどん発祥の地ということで、この表参道にも「こんぴらうどん」などのうどん屋さんがいくつもあり、歴史の感じられる古びた店内で本場のうどんを食べることができます。
参道の石段を500段ほども登った、本宮までもあと少しという場所にも、「神椿」というカフェ&レストランができています。資生堂が運営しているということで、非常におしゃれな雰囲気。まさか、金刀比羅宮の境内にこんなお店があるとは思わず、驚いてしまいました。 参拝の途中で一休みするのにぴったりでした。
このように、長い石段を上り下りして、参道のお店に立ち寄ったりしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。半日ではちょっと足りないという感じがするのが、琴平の町です。


アクセス方法

鉄道利用の場合
琴平の玄関口となる駅は二つあり、一つはJR予讃線の琴平駅。
岡山からの特急「南風」なども停まる主要駅で、大正時代に建設された木造駅舎は登録有形文化財になっています。
「南風」を利用した場合、岡山から琴平までは約50分、料金は2650円(自由席利用)です。運転本数は、ほぼ1時間に1本程度です。
ほかにも、坂出まで快速マリンライナーを利用し、そこから普通列車に乗り換えるというルートもあり、この場合は所要時間1時間20分程度、料金は1,450円となります。
(2026年1月現在)
もう一つの駅が、高松との間を結ぶ私鉄の高松琴平電鉄(琴電) 琴平線の終着駅である琴電琴平駅で、こちらの駅舎はそれほど古くはないものの、社寺を模したような瓦屋根が独特です。
高松築港駅(JR高松駅から徒歩数分)から琴電琴平駅までの所要時間は1時間20分程度、運賃は730円。1時間に2本くらい運転されています。
琴電は、高松市中心部の瓦町にターミナルがあるので、参拝後に高松名物のアーケード商店街へ観光に行くような場合は、こちらが便利かもしれません。
JR琴平駅から表参道の入り口辺りまでは約700メートル、徒歩約10分ほどの距離です。琴電琴平駅からはもう少し近くて徒歩7分くらい。ただし、そこから石段を登って金刀比羅宮の本宮までは、さらに30分ほどかかります。
なお、かつての琴平にはこの2路線以外にも、「琴平参宮電鉄(琴参、1963年廃止)」と 「琴平急行電鉄(琴急、1944年廃止)」があり、それぞれ丸亀や坂出との間を結んでいました。
大都市でもない町に、4つもの鉄道駅が集中していたわけで、琴平の当時のにぎわいぶりがよくわかると思います。
高松自動車道の善通寺インターチェンジが最寄り
マイカー利用の場合
山陽自動車道の倉敷ジャンクションからの瀬戸中央道(瀬戸大橋を経由する高速道路)と直結している高松自動車道の善通寺インターチェンジが最寄りのインターとなります。
倉敷ジャンクションから善通寺インターまでは約1時間ほど、高速を降りてからは約15分程度で琴平駅付近まで到着します。
町営の駅前西・東駐車場が利用できる
JR琴平駅前には、駅前西・東の二つの町営駐車場があり、観光に利用できます。
24時間営業で、普通自動車の場合料金は1時間200円。利用可能時間は朝7時から夕方7時(12月から3月は6時)となっています。
西駐車場から表参道の入り口までは約500メートル、徒歩7分ほどです。
結局登った785段 ~町並み歩きからこんぴら詣りへ~
特急「南風」で瀬戸大橋を渡り、琴平直行
山陽新幹線の岡山駅は、四国への玄関口としての役目を持っていて、瀬戸大橋線を経由して四国の各地へと向かう特急や快速列車が何本も出ています。
今回向かう琴平は、高松と高知を結ぶ土讃線の途中にあって、高知や中村・宿毛などへ向かう特急の「南風」や「しまんと」が停車するのですが、この「南風」は岡山が始発駅で、 新幹線から乗り換えれば直行で向かうことができます。
いつもなら旅費をケチって、快速の「マリンライナー」で瀬戸大橋を渡るところなのですが(実際、帰り道はそうした)、せっかく新しくてきれいな車両 (2700系)で琴平に直行できるわけなので、珍しく特急料金を払うことにしました。 快適な車内から瀬戸内海を眺めたりしながら乗車すること約50分、列車は琴平駅に到着。

ここから琴平の町歩きが始まるわけですが、その前にまずは琴平駅の構内と駅舎を見学します。
琴平と丸亀の間に鉄道が開業したのは1889年(明治22年)のことで、これは香川県内では最初に開通した鉄道路線。全国でも9番目という非常に歴史のある区間です。
三角屋根がモダンな駅舎は開業当初のものではなく、大正時代の1922年に建築されたものですが、それでも非常に歴史の古いものであるのは間違いなく、ホーム上屋とともに登録有形文化財となっています。もうここから観光は始まっているわけです。

駅前をまっすぐに伸びる石畳の通りを歩いて、金刀比羅宮の表参道のほうへと向かいます。
途中の金倉川沿いには、琴電琴平駅の駅舎があります。こちらは高松との間を結ぶ私鉄で、 1926年開業とやはりかなりの歴史がある路線。この日は丸亀泊なのでダメでしたが、こちらにも乗りたかったところです(大昔に乗ったことはあります)。

うどんと石段とティータイム
大宮橋で川を渡ると、旅館や土産物屋さんなどが並ぶにぎやかな区域になります。この辺りが「神明筋」というエリアで、左のほうへ進んでいくといよいよ表参道に出ます。
琴平の門前町のメインストリートである表参道には、飲食店などがずらりと並んで、大変な賑わいを見せていました。単なる繁華街とは違うのは、清酒「金陵」の本店など歴史の感じられる建物がいくつも見られることで、古くから栄えた門前町であることが実感できます。
ちょうどお昼時になっていたので、参道の石段の登り口近くにあった「こんぴらうどん」 に入ってご飯を食べることにします。
この建物もかつての旅館の建物を利用しているということで、築百数十年の歴史があるらしく(うどん屋さん自体は創業65年とかでやはり歴史があります)、趣のある店内でおいしいうどんを食べるのは、良い思い出になるなあと思いました。

腹ごしらえを終えて、いよいよ石段を登り始めます。とはいっても、本宮まで行くつもりはなく、町並みが続いている「大門」までで引き返すつもりです。目的は町並みの撮影なので、これで十分のはず。
ここをまともに登るのは子供のころ以来でしたが、今こうして風景を撮影しながら歩いてみると、延々と続く石段沿いにこれだけの距離に渡って古くからの商店街がにぎわっているというのはかなり貴重な風景だなと改めて感じることになりました。

で、大門に到着したのでしたが、この辺りはちょうど麓と本宮の中間地点。
そうそう来れるものでもないのだし、こうなったら本宮まで行ってしまおうと、結局は全 785段(数えたわけではないですが)の石段を登りきることにしました。
少々疲れはしましたが、苦労して登ってきた分ご利益はありそうな気もするし、本宮そばの展望台から眺める讃岐平野や飯野山(讃岐富士)も絶景で、ここまで来た甲斐はあったなと満足を感じたのでした。

帰り道、ちょっと休憩してから下山しようと、旭社から少しだけ下ったところにある「神椿」というカフェ&レストランに立ち寄ります。こんな山の上の神社の境内にあるのが不思議に感じられるようなおしゃれな造りのカフェですが、資生堂の経営とのことでした。
冷たいアイスティーを飲みながら足を休めて、優雅な午後のひと時を過ごしたのでした。

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