黒石は、弘前藩の支藩であった黒石藩の城下町(陣屋町)です。
農村地帯からの収穫物の集積地として栄え、多くの商人が全国から移り住んだと言われます。
かつての街道である「中町こみせ通り」に伝統的な商家が並ぶ古い町並みが残り、雪を防ぐために造られた木造の「アーケード」である「こみせ」が通りに沿って続きます。
この記事では黒石の町の見所や、実際に鉄道やマイカーなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法や駐車場の場所について紹介しています。
実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。
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雪国の木造アーケード、「こみせ」で知られる町
弘前の支藩から昇格した、黒石藩の城下町

弘前の東北数キロの位置にある黒石(青森県黒石市)は、弘前藩の支藩であった黒石藩の中心地として栄えた城下町(陣屋町)です。
現在は御幸公園や黒石市民文化会館の敷地となっている黒石城(黒石陣屋)の北側に、昔からの市街地が広がります。
周囲に広がる農村地帯からの収穫物の集積地として栄え、政策的に誘致したこともあって、彦根の近江商人など多くの商人が全国から移り住んだと言われます。
弘前と言えば、今も青森県有数の歴史・文化都市として知られる町ですが、その弘前藩のいわば分家に当たる町だった黒石が、逆に弘前から人を集めるほどに栄えました。
後には支藩から1万石の大名へと格上げになり、黒石藩が成立しました。
市街地の中心部にはその繁栄の名残を残す商家の建ち並ぶ古い町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)にも選定されています。
雪国ならでは、「中町こみせ通り」の古い町並み

弘前と青森を結んだ「浜街道」が市街地の中心部を南北に通っていて、その街道沿いの中町や前町が商人町として整備されました。
現在、もっとも古い町並みが残っているのがその中町で、かつての街道は「中町こみせ通り」という名前で呼ばれています。
大きな屋根が目を惹く、「高橋家住宅」(国指定重要文化財)、「鳴海家住宅(鳴海醸造)」「中村家住宅(中村亀吉酒造)」などの伝統的商家がいくつも現存していますが、黒石の町並みならではの特徴は、やはり「こみせ(小見世)」。
通りに沿ってずっと続く、いわば木造の「アーケード」で、雪を防いで通路を確保する目的で作られたものです。
商人町が作られたのと同時期、17世紀には整備されていたと言われますが、1860年の大火で多くが焼失したため、これだけの規模の「こみせ」が残るのは中町だけのようです。
「こみせ」の中は不思議な安心感があって、心が落ち着く感じがしました。
ちなみに新潟の上越地方にも、「雁木」と呼ばれる同じような木造アーケードが残っています。機会があれば両方訪れて、違いを比べてみるのも面白いかもしれませんね。



大正時代の擬洋風の消防屯所も残る

大正から昭和にかけて建てられた擬洋風建築の消防屯所が、市内に3か所残っています。
実際に見ることができたのは中町に近い「第三消防部屯所」(大正13年築)だけでしたが、写真を見ていただければお分かりの通り、立派な破風がある2層の屋根の上に、装飾が凝らされた火の見櫓の塔がそびえるという楽しいデザインの建物です。
消防屯所としては現役、内部も昔のままで、車庫には1971年配備の現役最古の消防車(日産FS780)が待機しているということです。
(見学不可ですが、出動時に目にすることができるようです)
残る二か所も同じように、木造二階建ての上に塔が載っているという造りのようで、再訪の機会があればぜひ見てみたいです。
アクセス方法

鉄道利用の場合
JR奥羽本線の弘前駅が起点になっている弘南鉄道弘南線の黒石駅が、町の中心部近くにあります。
(奥羽本線へは東北新幹線から新青森駅で乗り換え)
駅からこみせ通りまでは徒歩で10分ほど、黒石の町を眺めながら歩けばすぐという感じです。
弘前駅から黒石駅までは約35分、運賃は470円です(2023年1月現在)
列車の本数は1時間に1~2本(日中はほぼ1本)となっています。
https://konantetsudo.jp/time/time-timetable/
(弘南鉄道公式サイトの時刻表案内ページ)
なお、同じ弘南鉄道でも弘前の中心市街地にある「中央弘前駅」から出る大鰐線という路線もありますが、こちらに乗ってしまうと黒石には行けないので、注意が必要です。

マイカー利用の場合
東北自動車道の黒石インターが近い
東北地方の大幹線である東北自動車道の黒石インターチェンジが、町のすぐ近くにあります。
距離は約3キロ、10分程度で到着することができて、大変便利です。
黒石市役所、「松の湯交流館」の駐車場が利用可
黒石市役所の駐車場(無料)が利用できます。中町こみせ通りまでは、徒歩10分ほどとなっています。
また、かつての銭湯を改装した「松の湯交流館」の駐車場(無料・約20台)も町歩き目的で利用可能です。
こちらは中町こみせ通りに面しているので、交流館見学後すぐに古い町並みを見ることができます。

飛行機&バス利用の場合
本州の北端に位置する青森県ということで、航空便利用の場合も多いかと思います。
青森空港には、東京(羽田)・名古屋(小牧)・大阪(伊丹)・札幌(新千歳)からの直行便があり、東京や大阪からは1日6便と本数も多いです。
(名古屋からの便がセントレアではなく、県営名古屋空港=旧小牧空港発着なのに注意)
空港から弘前駅までは飛行機の便に合わせて連絡バスが出ているので、そこから弘南鉄道への乗り換えれば黒石に来ることができます。
https://www.aomori-airport.co.jp/
(青森空港公式サイト)
「こみせ」に護られる ~実際に黒石を歩いてみた~
ゴールデンウィークの後半、満開の桜に囲まれた弘前城を後にしてJR弘前駅へと向かいます。ここから弘南鉄道弘南線に乗れば、黒石の町まで行くことができます。
ちなみに、お城の近くには同じ弘南鉄道の「中央弘前」駅もあって、大鰐線という路線も出ています。
こちらは黒石には行けませんが、駅の雰囲気には味があって、公式サイトで沿線の写真を見ると風景も良さそうです。
2027年度末での廃止が決定したため、それまでに機会があればこちらにも乗ってみたいと思います。

さて、ローカル線に揺られること約三十分で黒石駅に到着。町の玄関口らしく、かなり広大な駅前広場がありした。
昔はその広場の向かい側にも国鉄の黒石駅というのがあったようで、玄関口が二つあったわけです。
この辺りからも、かつての町の繁栄ぶりが想像できるわけですが、残念ながらもう一つの黒石線は21世紀までもたずに廃止されています。
古い町並みが残る「中町こみせ通り」まではのんびり歩いても10分ほど。
居酒屋やお食事処が目につく通りは、現在の黒石の盛り場と言ったところなのでしょう。実際、大正の初めに国鉄が開通してからは、町の中心は中町よりも駅側に移って行ったようです。
中町のすぐ手前まで来たところで、ものすごくインパクトのある擬洋風の建物を見つけました。
本文中でも紹介した「第三消防部屯所」で、予備知識がなかったためにその立派さに驚いてしまいました。
(詳しくは、「大正時代の擬洋風の消防屯所」の項をご覧ください)

広い間口の上に大きな屋根が載った、他ではなかなか見られないような大型の商家が並ぶ「中町こみせ通り」の町並みは素晴らしいものでした。
ただ、予想以上に気に入ったのがその商家群の前に続く「こみせ」でした。
木造の狭い通路は歩いていて落ち着くというか、護られているような感じがして、雪の時期ならなおさら安心感があるのだろうなと思いながら歩いたのでした。

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