関宿の古い町並みを歩いてみよう~最大規模の町並みが残る東海道の宿場町~(三重県)

宿場町
宿場町重伝建地区東海エリア

[PR]当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

 関宿(三重県亀山市)は、東海道五十三次の47番目の宿場町です。
 大和街道と伊勢別街道の二つの街道が分岐した交通の要衝で、現存する東海道の宿場町の町並みとしては、この関宿が最大のものとなっています。

 宿場の全長は1.8キロ近くに及び、ほぼ全体に渡って今でも古い町並みが残っています。
 鈴鹿峠へ向かって緩やかな上り坂となっている通りを歩くと、伝統的な家屋がずっと建ち並んでいるという、見事な景観が保存されています。
 関を代表する旅籠だった「旅籠玉屋」などの古い建造物がいくつも残されているのも、魅力的です。

 この記事では関宿の町並みの見所や、実際に鉄道やマイカーなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法や駐車場について紹介しています。
 実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。

東海道五十三次で最大の規模の古い町並みが残る宿場町

旧東海道では例外的な、大規模な都市化を逃れた宿場町

関宿の町並み
関宿の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 三重県の北部、滋賀県境との間に立ちはだかる鈴鹿峠にも近い場所にある関宿(三重県亀山市)は、東海道五十三次の47番目に当たる宿場町です。
 鈴鹿川と小野川に南北をはさまれた高台(河岸段丘)の上を東西に走る旧東海道に沿って、数多くの伝統的な建築物が残る市街地が続いています。
 現存する東海道の宿場町の古い町並みとしては、この関宿の町並みが突出して最大級のものとなっています。

 西の追分で大和街道と、東の追分で伊勢別街道と分岐する要衝ということもあって、大変なにぎわいを見せたという関宿ですが、旧東海道の他の宿場に比べて特別に大規模というわけではなかった(旅籠の数が40程度と中規模)ようです。
 にも関わらず、これだけの規模の町並みが残っているというのは、東海道の宿場町というものがいかに大規模なものだったかが感じられます。

 明治の中頃に関西本線(当時は関西鉄道)が開通したことで、宿場町としての関の繁栄は終わります。
 その後、旧東海道沿いのエリアの大半が高度に都市化されて行く中で、難所の鈴鹿峠があるこの区域は、新たな国家的交通ルートとなった東海道本線や新幹線、名神高速道路などが、みんな避けて通ることになりました。

 結果的に、東海道の宿場町としては珍しく大規模な開発を逃れることになった関宿では、かつての町並みがそのままに残されることになったようです。

関宿・会津屋付近の風景
関宿・会津屋付近の風景(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

全長1.8キロメートルに渡って残る、古い町並み

関宿・西の追分方面への上り坂
西の追分方面へと上り坂が続き、彼方には山地が見える(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 大和街道が分岐した西の追分から、伊勢別街道が分岐する東の追分まで、宿場の全長はほぼ1.8キロあったわけですが、このほぼ全体に渡って今でも古い町並みが残っています。
 緩やかにカーブする狭い通りを歩き続けても、伝統的な家屋がずっと建ち並んでいるという、なかなか他では見られないような景観が保存されているわけです。
 1984年という、かなり早い時期に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)にも選定されていますが、これは当然と言えるかもしれません。

 宿場内では、東から西に向かって緩やかな上り坂がずっと続いている感じで、通りの向こうには山地が立ちはだかり、この先に峠越えを控えていることがよく分かります。

関宿・東の追分方面への下り坂
東の追分方面へと下り坂が続く(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 関宿には、伊藤本陣と川北本陣の二つの本陣があり、どちらも宿場の東西のちょうど中間あたりに置かれていました。
 現在、本陣の建物は残っていませんが、その近くには関を代表する旅籠だった「旅籠玉屋」の建物が歴史資料館として保存されています。

 また、川北本陣跡のそばには「百六里庭」という公園があって、その入り口に立つ「眺関亭」という建物の2階は、関の町並みを一望できる展望台となっています。
 入館は無料で、開館時間は朝8時から夕方17時までとなっています。ここからの風景は必見ですので、忘れずに立ち寄るようにしましょう。

眺関亭から眺める関宿の町並み
眺関亭から眺める関宿の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

関宿を代表する、旅籠玉屋や関地蔵院本堂などの歴史的な建物

関宿・旅籠玉屋
関宿・旅籠玉屋(通りの左側、画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 関宿には、江戸時代以降の古い建造物がいくつも残されています。
 特に代表的なのが、「関宿歴史資料館」として公開されている「旅籠玉屋」の建物で(江戸時代の建築)、宿のトレードマークだった宝珠の玉を象った虫籠窓が非常に印象的です。

 玉屋の付近から西の方角を見ると、通りの彼方には「関の地蔵さん」として知られる寶藏寺(関地蔵院)本堂が立派な姿がを見せていて、この眺めは関宿を代表する景観となっています。
 こちらも江戸時代の建築で、境内の愛染堂や鐘楼と共に国の重要文化財に指定されています。
 まさに関宿のランドマークに当たる存在です。

 地蔵院のすぐ向かい側には、旅籠の「会津屋」などの建物が並びますが、その一画には青いタイル風の壁とアーチのある二階の窓が異彩を放つ、擬洋風建築を思わせる町家があります。
 こちらは見た目そのままの「洋館屋」と呼ばれる建物で、こちらも関を代表する建築の一つに数えられます。
 明治時代に生糸の問屋として栄えた家とのことですが、現在は「小万茶屋」という甘味処として利用されています。 

関宿・通りの彼方に見える、寶藏寺(関地蔵院)本堂
通りの彼方に見える、藏寺(関地蔵院)本堂(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)
関宿・関地蔵院前の「洋館屋」(小万茶屋)
関地蔵院前の「洋館屋」(小万茶屋)(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 

アクセス方法

関宿の町並み
関宿の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

鉄道利用の場合

 JR関西本線の関駅が、町のすぐそばにあります。
 駅から古い町並みの辺りまでは、徒歩で10分程度となっています。

 関西本線は大阪と名古屋を結ぶ路線ですが、関駅のあるこの区間は非電化単線で、1両から2両編成の小型ディーゼルカーが走っているローカル区間です。大阪や名古屋の近郊区間のような、快速の運転もありません。
 列車の本数も、ほぼ1時間に1本程度なので、訪れる際には事前の確認が必要です。

 大阪からの所要時間は、JR東海道線(京都線・琵琶湖線)、草津線経由で柘植駅で乗り換えて2時間少し。運賃は1980円です
 名古屋からの所要時間は、隣の亀山駅で乗り換えて1時間15分から1時間30分程度、運賃は1170円です。
 (いずれも2024年11月現在)

 なお、名古屋から同じくらいの距離の岐阜県にも関駅があるので、乗り換え検索の際にはご注意を。
 

(JR関西本線の関駅に到着する列車)

マイカー利用の場合

名阪国道の関インターなどが利用できる

 亀山と奈良の天理を結ぶ無料の自動車専用道路、名阪国道の関インターチェンジがすぐ近くにあり、約5分で駐車場まで到着できます。
 また、東名阪自動車道の亀山インターからも近く、こちらも所要時間は5分少しです。

 関宿のある亀山は、この名阪国道と伊勢方面へ向かう伊勢自動車道、名古屋方面へ向かう東名阪自動車道の分岐点となっていて、さらには京都・滋賀方面からの新名神高速道路と接続するジャンクションもあるという道路交通の一大拠点となっています。
 このため、どの方面からでもアクセスが良好となっています。

無料の「関宿観光駐車場」が利用できる

 亀山市役所の関支所に隣接する、「関宿観光駐車場」を無料で利用することができます。
 駐車台数は普通車が16台となっています。
 古い町並みの辺りまでは、徒歩5分程度と便利な場所となっています。

 ほかにも、関駅近くの国道25号線沿いには「道の駅 関宿」があり、こちらの駐車場も利用可能です。町並みの辺りまでは徒歩10分程度です。

 

夏の夕暮れの宿場町で ~鉄道で訪れる関宿~

関西本線の小さなディーゼルカーで、関宿へ

 まだ連続使用などの制限がかかる前の、夏の青春18きっぷを使って、伊勢方面への旅行から関西への帰り。
 近鉄特急に乗るか、「快速みえ」で名古屋まで出て新幹線で帰れば楽なのですが、もちろん18きっぷではどちらも使えません。そこで、紀勢本線で亀山に出て、そこから関西本線に乗って帰ることにします。
 たった1~2両編成のディーゼルカーが懸命に走る関西本線のローカル区間。時間はかかりますが、旅情の感じられるルートではあります。

立派な関駅のホームに到着した、たった一両の関西本線のディーゼルカー

 このルート上には魅力的な古い町並みが二か所あって、一つは真宗高田派本山・専修寺の寺内町である一身田。
 そしてもう一つが、東海道五十三次で最大規模の町並みが残る宿場町の関宿です。
 こんな近くまで来て素通りはできない、ということで、炎天下ではあるものの、この際どちらにも立ち寄ることにしました。

津市一身田寺内町の町並み

 三回目の訪問となる一身田の町を歩いてから、一両編成のディーゼルカーで関駅にたどり着いたときには夕方近くになっていましたが、8月ということで日没までは時間があるので問題なし。言い換えれば、まだまだ強い太陽が照り付ける中を、旧東海道が走る高台へと駅からの坂道を上って行きました。

どこまでも町並みの続く、旧街道に佇んで

 この関宿の町並みは、東西1.8キロにも及ぶ大規模なものです。
 鈴鹿峠に向かって緩やかな上り坂になっている、東西に延びる通りをはるかに見渡しても、どこまでも古い町並みが続いていて、終わりが見えません。

関宿・旅籠玉屋付近の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

 東海道の宿場町でこれほどの規模の町並みが残っている場所は他に例がありません。
 ここに次ぐのは恐らく、五十三次には入らない「間の宿」だった名古屋の有松で、後は関宿から比較的近い土山宿くらいでしょう。
 何せ東海道エリアと言えば今でも、日本を代表する巨大都市圏なわけで、宿場町だった場所もほとんどが都市化されてしまっています。
 関宿の町並みがほとんど完全に残ることになったのは、近代以降の主要交通ルートが鈴鹿峠越えを避けたおかげではないかと思いますが、それにしても奇跡的なことです。
(名古屋市内の有松もまた奇跡的だと思いますが)

 駅からの坂道を上がってきて、旧東海道の通りに出ると、風景が一変します。東西どちらを見ても、古い町並みがどこまでも続いているのです。夕方が近づいて観光客も少なくなった通りに佇むと、本当に日常感がなくなって来る感じです。
 しかし、いくら日が長いとはいえ、あまり感慨にふけっていると、町を歩く時間が無くなってしまいます。何せこの町並み、全長2キロ近くもあるのです。
 西に向かうか、東に進むか。とりあえず方向を決めて、まずは歩きはじめるのでした。

関宿の町並み(画像クリックでこの場所のGoogleMapが表示されます)

訪れてみたい、東海エリアの古い町並み

東海エリアの古い町並み

郡上八幡の古い町並みを歩いてみよう ~水路と川が美しい城下町~(岐阜県)

高山・三町の古い町並みを歩いてみよう ~観光客にも人気の飛騨の城下町~(岐阜県)

伊勢河崎の古い町並みを歩いてみよう ~板壁の商家が残る「商人館」~(三重県)

静岡県の古い町並み5選 ~花沢・宇津ノ谷・遠州森町・他~

津島の古い町並みを歩いてみよう ~天王川の水運で栄えた津島神社の門前町~(愛知県)

NZをフォローする
タイトルとURLをコピーしました