北陸地方を代表する城下町の金沢は、一向宗の拠点だった「金沢御堂」が滅ぼされた後、前田利家などによって築かれた町で、16世紀以来の歴史を持ちます。
加賀・能登・越中三国を合わせた「加賀百万石」の城下町として知られ、江戸時代には全国でも有数の規模を誇る大きな町でした。
戦時の空襲を受けていない非戦災都市ということから、城下町としての基本的な構造は今も受け継がれており、市内には4か所もの国の重伝建地区をはじめとした、たくさんの古い町並みが残されています。
茶屋町、寺町、武家町と、それぞれに城下町を構成していた町の姿を今もそのままに見ることができるのは、非常に魅力的です。
この記事では、それらの金沢の町並みの見所について一つずつ解説しています。
また、実際に鉄道やバス・マイカーなどで古い町並みを訪れるためのアクセス方法についても紹介しています。
実際に訪れた際の訪問記も掲載していますので、こちらも参考にしてみてください。
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日本有数の規模を誇った、「加賀百万石」の城下町
前田氏の築いた城下町の姿が、現在も残る
石川県の県庁所在地で、能登半島のすぐ南側にある金沢(石川県金沢市)は、北陸地方を代表する城下町で、16世紀以来の歴史を持ちます。
現在の金沢城本丸がある場所には、元々は1546年に建立された一向宗の中心地である「金沢御堂」があって、その周辺には寺内町が発達していました。
しかし、ここが一向一揆の拠点となっていたことから、1580年に佐久間盛政によって「金沢御堂」は攻め滅ぼされ、代わって金沢城が築城されることになりました。
その後に入城して藩主となった前田利家によって、本格的な築城と城下町の建設が始まり、金沢は加賀・能登・越中三国を合わせた「加賀百万石」の城下町として、大発展を遂げることになりました。
江戸時代の金沢は、江戸・大坂・京に次ぐ規模の都市だったと言われることさえあり、いかに大きな町だったかが分かります。
第二次世界大戦時の空襲も受けていない(非戦災都市)ことから、城下町としての基本的な構造は今も受け継がれており、古い町並みの観光を楽しむうえでも非常に見どころの多い町となっています。
城跡の周囲に残る、いくつもの古い町並み
市内に4か所もある重伝建地区、その他にも茶屋街や武家屋敷跡などが残る
金沢の市街地には、国が選定した四か所もの重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)があり、これは古都として人気の京都市と並ぶものです。その四か所とは、
- 東山ひがし重伝建地区(茶屋町)……市内随一の格式と賑わいを誇った茶屋町
- 主計町重伝建地区(茶屋町)……浅野川沿いに二階建ての茶屋建築が軒を連ねる
- 卯辰山麓重伝建地区(寺町)……複雑な地形の街路に沿って社寺が配置されている
- 寺町台重伝建地区(寺町)……通りに沿って並ぶ寺院の合間に、町家が残る寺町
となっていて、茶屋町が2か所、寺町が2か所ということになっています。
このうち、寺町台の重伝建地区以外は市街の北東部、浅野川のそばに集まっています。
また、重伝建地区とはなっていないものの、寺町台に隣接する犀川の南東には「にし茶屋町」の町並みが残り、市街中心部の香林坊近くにある長町には「武家屋敷跡」が大規模に現存するなど、金沢城跡を取り囲むかのようにいくつもの古い町並みが点在しているのが金沢の特徴です。
続いて、これらの町並みについて順番に解説して行きます。
金沢を代表する伝統ある茶屋街、ひがし茶屋街(東山ひがし重伝建地区)
金沢市街の東北側、犀川のそばにある重伝建地区です。
直線的な石畳の通りの両側に、二階建ての茶屋の建物(二階が座敷となっている)が建ち並ぶのが特徴的で、いかにも茶屋街らしい風情が感じられます。
この端正な景観は、江戸時代に加賀藩が公認の遊里として整備したことに始まるもので、今でも地区内にある約140の建物のうち3分の2ほどが、江戸時代後期や明治時代などに建てられた伝統的な建造物となっています。
表通りだけではなく、周囲の狭い路地にも昔ながらの家屋が多数残っていて、非常に趣のある風景が見られます。
人気の観光スポットで、カフェやお寿司屋さん、土産物店なども数多くあることから、いつ訪れても多くの観光客でにぎわっているという印象ですが、時間帯を選べばゆっくり歩くことも可能です。
浅野川沿いに茶屋の建物が並ぶ、主計町茶屋街(主計町重伝建地区)
主計町(かずえまち)は、ひがし茶屋街から浅野川を渡った向かい側にある茶屋街です。
こちらは明治時代になってから発展した茶屋街で、川沿いの狭い通りとその裏の路地に、茶屋の建物が建ち並びます。
「主計町料理料亭街」として現役の料亭街となっていて、いかにも格式のありそうな料亭が何軒も集まっている印象です。
「高野聖」で知られる文豪・泉鏡花や五木寛之が好んで訪れたというのもうなずける、落ち着いた雰囲気があります。
一般向けの観光スポットのようなものは少ないのですが、ただ訪れて歩いてみるだけでも十分に趣を堪能できる町だと思います。
川沿いとその周辺の尾張町などの市街地の間には高低差があり、町並みの裏手には「暗がり坂」「あかり坂」という坂道の階段があります。
明るい印象の川沿いと風情のある裏の路地、そこから狭く急な階段を上がっていくと泉鏡花記念館などがある「新町・鏡花通り」の界隈に出ることができる、この変化に富んだ景観が、主計町の町並みの大きな魅力となっています。
新町・鏡花通りの町並み(旧新町こまちなみ保存地区)
主計町から「暗がり坂」「あかり坂」を上ると、「新町・鏡花通り」の通る下新町に出ることができます。
通りの名前の通り、文豪・泉鏡花の生家跡に建つ古い民家を改修した「泉鏡花記念館」や「久保市乙剣宮」のある落ち着いた雰囲気の区域で、鎌倉時代にはすでに久保市乙剣宮の門前集落が発達していたとも言われています。金沢の町でも、最も古い歴史を持つ区域かも知れません。
尾張町に隣接する、「新町・鏡花通り」沿いの旧新町の一帯は金沢市の「こまちなみ保存区域」になっていて、格子戸の町家が残る昔ながらの景観が守られています。
通りの西の端にあたる旧博労町には、江戸末期に建てられたという旧・金沢町家料亭壽屋の非常に立派な建物を利用した人気の洋菓子店があり、中のカフェでケーキなどをいただくこともできました。
スイーツもおいしくて、ここは一見の価値があると思います。
複雑な街路が特徴の寺町、卯辰山山麓寺院群(卯辰山麓重伝建地区)
金沢市街の東側にある卯辰山(標高145メートル)の西側山麓に当たる区域で、ひがし茶屋街の周辺を含むかなり広い範囲が重伝建地区のエリアとなっています。
こちらは寺院群を中心とした区域で、山麓の傾斜や屈曲がある複雑な街路のあちこちに、江戸時代の初めなどに建立されたお寺の建物が点在しています。
特に、全性寺の仁王門が突き当りに見える「七面小路」の辺りでは、最も寺町らしい整った景観が見られました。
ひがし茶屋街から歩いてもそれほど遠くはなく、何度か訪れてみたのですが、道がかなり複雑でどこをどう歩いたのか分からなくなるほどでした。
城下町の「寺町」と言えば、直線的な通りに沿って寺院が並ぶ形が多く、このような複雑な形になっているものは珍しいです。歩いていても面白い地区でした。
通りに沿って町家と寺院が並ぶ、寺町台(寺町台重伝建地区)
金沢市街の南西側、犀川の南にあるのが寺町台地区です。
他の三つの重伝建地区とは離れていて、繁華街である香林坊や片町からも比較的近いエリアになっています。
蛤坂の辺りから南へと続く旧鶴来街道を歩いていくと、通りに沿って寺院と町家が並ぶ寺町の風景が見られます。
この辺りを「泉寺町」といって、「忍者寺」として人気の妙立寺などもあるため、訪れる観光客も多くなっています。
また、犀川に沿うように南西方向へと続く県道144号線(寺町通り・旧野田道)沿いにもやはりお寺が並んでいて、こちらを「野田寺町」といいます。
主にこの二つの区域を合わせて寺町台地区となっていて、歴史的には江戸時代初期に寺院群が造られた「野田寺町」のほうが「泉寺町」よりも少し古いようです。
卯辰山麓とあわせて、金沢を代表する二大寺町と呼んで良いでしょう。
ひがし茶屋街と並ぶ伝統を誇る、にし茶屋街
ひがし茶屋街・主計町茶屋街と並んで、金沢の三茶屋街の一つです。
犀川の西側、寺町台地区と隣接する場所にあり、ひがし茶屋街とは金沢城を挟んでちょうど反対側に当たる場所になります。
東西二つの茶屋街が城下町の中で、対称的に向かい合っているような感じになっていますね。
両地区の間は、バスでも20分くらいかかるようで、金沢の城下町としての規模が非常に大きかったことがわかります。
ひがし茶屋街と同時に加賀藩に公認された遊里で、石畳の通りにそって茶屋建築が並ぶ様子もよく似ていますが、卯辰山の山地が迫るひがし茶屋街に比べると、どことなく開放的な雰囲気のようにも感じられます。
現役の茶屋街としてはこちらのほうが規模が大きいとのことで、大正時代に建てられたかつての検番事務所(現・にし料亭組合事務所)の洋風建築が町のシンボルのようになっています。
以前は観光客も少なめだったにし茶屋街ですが、近年では一般向けのカフェスペースなどもできて、次第に観光スポットとしての人気が高まってきているようです。
加賀藩の中級武士の武家町が残る、長町武家屋敷跡
金沢最大の繁華街である香林坊のすぐそばにある「長町武家屋敷跡」は、加賀藩の中級武士の屋敷跡が残るエリアです。
大和デパートなどのあるメインストリートを少し西側へと歩くとすぐに、瓦屋根を載せた土塀や門が続く見事な町並みが姿を現します。
金沢市によって景観地区に指定されていて、保全がはかられています。
城下町を構成するさまざまな区域の中でも最も重要ともいえる武家町の跡が、にぎわう繁華街に隣接しているというのが面白いですね。
現在でも多くの人が暮らしている住宅地ということで、表通りとは全く違う静けさが印象に残ります。
武家町に沿うように流れる大野庄用水は、犀川から取水している水路で、金沢城築城の際には木材を運ぶ運河としても用いられたといいます。
土塀の下を水路が流れる美しい風景は、長町武家屋敷跡のシンボルのようになっています。
兼六園前の茶店通りや、近代建築が残る「本多の森」などの見どころも
兼六園桂坂口の茶店通り(江戸町通り)
金沢城の石川門に近い、兼六園の桂坂口の前には「茶店通り」と呼ばれる一画があります。
前田家の庭園だった兼六園が一般開放された明治の初めごろに、何軒もの茶店が許可を得て開業したという場所で、築百年以上という堤亭などの古びた建物が並ぶ、風情のある通りです。
兼六園と金沢城をつなぐ石川橋のそばということで、食事などでおとずれたことのある方も多いのではないでしょうか。
本来の通りの名前は「江戸町通り」で、徳川家から前田家に珠姫が嫁いできた際に、一緒に金沢へやってきた職人たちがここに住んだ、というのが名前の由来となっています。
このようなところにも、やはり金沢の歴史が感じられますね。
近代建築が集まる「本多の森公園」エリア
金沢城跡や兼六園の南側に隣接する「本多の森公園」一帯の文化ゾーンには、日本海側で初の国立美術館となる国立工芸館や石川県立美術館、石川県立歴史博物館などの文化施設が集まっています。
人気の「金沢21世紀美術館」も、この公園のすぐ西側に隣接しています。
この国立工芸館として使われているのが、かつての旧陸軍第九師団司令部庁舎と、旧陸軍金沢偕行社の二つの近代洋風建築で、どちらも明治時代に建てられたもの。
第九師団司令部庁舎は、以前は金沢城内に建っていたものを移築したとのことですが、この二つの貴重な建物が並ぶ様子はなかなか見事で、一見の価値がある風景だといえます。
また、そのすぐ隣には、石川県立歴史博物館および加賀本多博物館として利用されている。かつての陸軍兵器庫の赤レンガ建築三棟が並び、「いしかわ赤レンガミュージアム」の愛称で知られています。
ほかにも、陸軍第九師団の師団長官舎が石川県立美術館の別館として使われていたり、このエリア全体が近代建築を展示するミュージアムみたいになっているような感じですね。
アクセス方法
鉄道利用の場合
北陸新幹線で東京方面と直結しているJR金沢駅が、町の玄関口となっています。
2024年3月には北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸されることで、関西や名古屋方面からの所要時間も短縮されることになります(その代わりに、大阪から直通の特急「サンダーバード」や、名古屋から直通の特急「しらさぎ」はなくなります)
東京からは、最速の北陸新幹線「かがやき」利用で金沢駅まで約2時間半、料金は14,380円(指定席・通常期)
大阪からは、特急「サンダーバード」利用で金沢駅まで2時間半、料金は7,790円(指定席・通常期)となっていますが、北陸新幹線延伸後は敦賀乗り継ぎで2時間10分に短縮されて、代わりに料金は1,620円ほど上がるとのことです。
名古屋からは、直通の特急「しらさぎ」利用で約3時間、米原まで東海道新幹線利用で「しらさぎ」に乗り継いだ場合は約2時間半となっています。
料金は直通の場合で7,460円、新幹線から乗り継ぎの場合が8,160円(いずれも指定席利用)です。意外と差がありませんが、これは東海道新幹線から在来線特急に乗り継いだ場合の割引があるからです。
こちらも北陸新幹線延伸後は敦賀乗り継ぎで所要時間は15分ほど短縮となり、代わりに料金も値上げとなります。
東海道新幹線から在来線特急への乗り継ぎ割引も同時に廃止となるため、東海道新幹線の米原で特急「しらさぎ」へと乗り継ぎ、さらに敦賀で北陸新幹線に乗り継ぐパターンの場合は、値上げ幅が大きくなりそうです。
(いずれも2024年2月現在)
なお、北陸新幹線敦賀開業後、各種の特別企画乗車券が発売されるようですので、有効活用したいところです。
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240123_00_press_hokurikukippu_1.pdf
(JR西日本のニュースリリース、北陸新幹線[金沢-敦賀間開業]に伴う特別企画乗車券の発売について)
市内の移動はバス利用が基本
多数の飲食店やお土産屋さんなどが駅ビル内に集まり、周辺にはホテルの高層ビルが立ち並ぶなど、金沢の一大中心地の一つとなっている金沢駅ですが、金沢最大の繁華街である香林坊・片町地区や兼六園、ひがし茶屋街のある卯辰山麓エリアからは少し離れています。
そのため、金沢観光においてはバスの利用が欠かせません。
金沢駅前のバスターミナルからは、市内のすべての主要観光地へ向かうバスが発着しています。
特に香林坊方面との本数は非常に多くて、ほとんど待たずに乗ることができる感じで大変便利です。
主な町並みを歩く際に、利用しやすいバス停(比較的バスの本数が多い)は以下の通りです。
- ひがし茶屋街、主計町茶屋街、卯辰山麓……橋場町バス停(金沢駅⑥⑦番乗り場からのバス)
- にし茶屋街、寺町台……広小路バス停(⑦⑨~⑪番乗り場からのバス)
- 長町武家屋敷跡……香林坊バス停(③⑦~⑪番乗り場からのバス)
バス料金は、市内中心部では210円の均一料金(2024年1月現在)となっていますが、1日乗り降り自由のフリー乗車券が800円で発売されているので、こちらの利用をお勧めします。
スマホ画面の提示で乗れるデジタル版(スマホ決済だけで購入手続きが完了する)も用意されています。
http://www.hokutetsu.co.jp/tourism-bus/route_stop
(北陸鉄道バス公式サイトの、市内主要停留所のりば案内)
http://www.hokutetsu.co.jp/tourism-bus/oneday
(金沢市内1日フリー乗車券の解説ページ)
マイカー利用の場合
北陸自動車道の金沢東・金沢西インターが最寄り、金沢東部環状道路の利用も
金沢市街のすぐ北側を、滋賀県の米原と新潟を結ぶ北陸自動車道が通っていて、金沢東・西の両インターチェンジが最寄りとなっています。
東京方面からだと、関越道や上信越道経由で約500キロ弱、大阪方面からは名神高速経由で約300キロの距離があります。
金沢東・西どちらのインターからでも、市内の中心部までは約15分から20分程度の距離となっていますが、金沢市内の渋滞はかなり激しいため、時間には余裕を持っておいたほうがよさそうです。
また、金沢東インターの東隣にある金沢森本インターからは、市内中心部のすぐ近くまでをつなぐ「金沢東部環状道路」(無料)が分岐しています。
こちらを利用して鈴見インターで降りれば、金沢の市街地をあまり通ることなく、金沢城跡の辺りまで来ることが可能です。
最高速度80キロの高規格道路で所要時間も短いため、渋滞を避けるためにも、東インター利用よりはこちらのルートが有効だと思います。
駐車場は金沢駅前や兼六園周辺など多数ある
屈指の観光都市ということで、市内には多数の駐車場が整備されています。
中でも最大のものが、金沢駅西口の「西口時計駐車場」で、1500台もの収容が可能(立体駐車場)です。
料金は、最初の1時間が300円で、以降30分毎に100円が基本(夜間料金などもあり)となっています。
金沢城跡や兼六園周辺では、「石川県兼六駐車場」が大規模で、480台収容可能(立体駐車場)。
料金は、最初の1時間が350円で、以降30分毎に150円が基本(こちらも夜間料金などもあり)となっています。
ほかにも、香林坊の地下駐車場などが大規模なものとなっていますが、繁華街のため買い物客などで混み合うことが予想されます。周辺の渋滞もかなり激しいことで知られています。
例えば駅前などに車を停めて、市内はバスと徒歩で観光する、という形がよいのではないかと思います。
https://www.parkingguide-kanazawa.com/category/parking/101077.html
(金沢市の駐車場案内サイト)
吹雪の兼六園と卯辰山麓 ~早春の金沢を歩く~
吹雪の中、ライトアップされた兼六園
日本三名園の一つとしても知られる金沢の兼六園では、「兼六園四季物語」として年に数回、ライトアップのイベントが開催されています。
残念ながら、2024年2月の「冬の段」は災害の影響で中止にはなりましたが、また今後も開催されることと思います。
その冬のライトアップを、見に行ったことがあります。
2月の初め、見事に雪の積もった日のことで、京都から特急「サンダーバード」に乗ると、滋賀県に入ったあたりからすでにうっすら雪景色。
福井県に入ると、屋根に積もった雪の分厚さがもう完全に雪国という感じになりました。もちろん金沢も雪景色です。
近江町市場でお寿司を食べ、21世紀美術館などを見学というまさに王道の金沢観光の後、同行者と夜の兼六園へと出かけました。
香林坊のホテルから、旧制四高の赤レンガの建物を眺めつつ、雪景色の中を普通に歩いて行ったのでしたが、兼六園についたところで再び雪が。
それも、まともに吹雪いているような感じになったのですが、ライトアップされた兼六園に雪が降るという光景は本当に美しくて、今でも印象に残っています。
庭園の中心にある霞ケ池の水は凍りかけて、水面に雪が積もり始めていました。
感動したまま、茶店通り(江戸町通り)を歩いて石川橋から金沢城へ向かい、こちらも雪の積もる五十間長屋がライトアップされた姿を見て帰りました。
雪の積もる卯辰山麓をさまよう
翌日は、ひがし茶屋街から、重伝建地区に選ばれて初めて訪れた卯辰山麓エリアへと歩きました。
茶屋街の北側のすぐそばに隣接する地区ではあるのですが、山麓の複雑な地形のせいで元々から非常に道がわかりにくく、しかも雪が積もっているわけなので、歩くのはなかなか大変でした。
さまよい歩いているような気分で、お寺の間をくねくねと通り抜けて、全性寺がある七面小路の辺りまで到着しました。
苦労した甲斐あって、雪の積もる小路の向こうに、全性寺の立派な仁王門がたたずむ風景を見ることができて、これも大変うれしかったことを覚えています。
本当は、国道359号の城北大通りにいったん出たほうが、七面小路まで行くだけなら歩きやすくて楽だったかもしれません。
でも、あの曲がりくねった道をさまよってこその卯辰山麓だと思うので、やはりぜひとも山側を歩いて風景を楽しみながら、訪れてほしいと思います。
(2024年の地震被害による通行規制にご注意ください)
訪れてみたい、北陸エリアの古い町並み
北陸エリアの古い町並み
熊川宿の古い町並みを歩いてみよう ~京料理を支えた鯖街道の宿場町~(福井県)
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